警察活動の最前線
大麻事犯撲滅を目指して
警視庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課薬物捜査指導第一係
別役 将史

近年、未来ある若者たちの大麻事犯が急増しています。
そのため、警視庁では、若者の大麻乱用に歯止めをかけるべく、「大麻取締りプロジェクト」を発足させました。
プロジェクトでは、例えば、大麻を栽培する目的で大麻種子を購入した者らを大麻栽培予備罪で検挙するという新たな捜査手法により、徹底した取締りを実施しました。
その捜査過程において、岡山県内に大麻栽培工場を発見したものの、犯人たちは、栽培工場を移転させるなど警察の目を欺くためにあらゆる手段を駆使しており、捜査は難航しました。しかし、岡山県警察、富山県警察との協力の下、昼夜を問わない張り込み捜査等により、何とか新たな栽培工場を突き止めました。検挙の着手当日、我々捜査員は、極寒の雪山の中で息を潜めて時機をうかがい、無事に犯人たちの姿を確認し一斉着手・検挙に成功しました。栽培工場からは、大量の大麻を押収するとともに大麻の売上金数千万円を没収し、大麻栽培工場を壊滅しました。
今回の事件のように、薬物犯罪の手口は広域化・多様化しています。今後も「オールジャパンの精神」で他の道府県警察と協力しながら犯罪者らを上回る知恵を振り絞り、大麻事犯撲滅の一翼を担っていきたいと思います。

首魁は海外にいる!!
奈良県警察本部刑事部組織犯罪対策課
前田 邦彦

私は、国際捜査を担当しており、来日外国人による様々な犯罪を捜査し、被疑者の検挙や情報収集を通じた実態解明を行い、犯罪組織を壊滅させて治安維持に貢献することを使命に、捜査活動を行っています。
最近では、携帯電話機の紛失補償サービス等を利用して、ベトナム人犯罪組織が不正に携帯電話機を取得した詐欺事件の捜査に従事しました。この事件の被疑者の大半は日本に在住していましたが、捜査を進めるうちに、ベトナム在住の首魁被疑者からSNS等を通じて指示を受け、警察署に携帯電話機を紛失したとの虚偽の届出をし、携帯電話会社の紛失補償サービスに申請して代替機をだまし取るという、詐欺行為の全貌が判明しました。また、同犯罪組織は、紛失補償サービス等の利用に際し、海外からインターネット回線を使用して携帯電話会社へ申請していたため、行為者の特定は困難を極めました。しかし、捜査員一丸となって粘り強く、首魁被疑者と思われる人物につながる捜査や資料分析を緻密に行った結果、ベトナム在住の首魁被疑者を特定することができたのです。その後、ベトナムから日本に再入国した首魁被疑者の逮捕に至りました。
今後も、海外を拠点として犯罪行為を敢行する被疑者は増えていくと考えられますが、当係は「日本における犯罪は、日本の手で決着をつける」との気概を持ち、国際捜査に邁進していきます。
