4 匿名・流動型犯罪グループの動向と警察の取組
暴力団勢力が衰退していく中、暴力団のような明確な組織構造は有しないが、先輩・後輩、友人・知人といった人間関係に基づく緩やかなつながりで集団を構成しつつ、暴力団等と密接な関係を有するとうかがわれる集団も存在しており、警察では、従来、こうした集団を暴力団に準ずる集団として「準暴力団」と位置付け、取締りの強化等に努めてきた。
こうした中、近年、準暴力団に加え、SNSや求人サイト等を利用して実行犯を募集する手口により特殊詐欺等を広域的に敢行するなどの集団がみられ、治安対策上の脅威となっている。これらの集団は、各種資金獲得活動により得た収益を吸い上げている中核部分は匿名化され、実行犯はSNS等でその都度募集され流動化しているなどの特徴を有する新たな形態のものである。
警察では、こうした集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付けた上、その動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、侵入強盗対策、暴走族対策、少年非行対策等を担う関係部門間における連携を強化し、匿名・流動型犯罪グループに係る事案を把握するなどした場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明を図るとともに、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている(注)。
注:匿名・流動型犯罪グループに対する警察の取組については、2頁参照(特集)