3 警察における人材育成の推進
(1)サイバー空間における脅威への対処に係る人材育成
都道府県警察では、サイバー事案に的確に対処するため、事案発生時には、多数の捜査員を従事させるとともに、警察本部等にサイバー事案への対処について高度な知見を有するサイバー犯罪捜査官等の専門捜査員を配置している。サイバー犯罪捜査官等は、民間企業での経験や情報通信技術に関する高度な資格の保有を条件として中途採用・特別採用をした警察官等であり、その知識や技能を生かして捜査の第一線で活躍している。
また、警察庁では、従前から情報通信に関する専門的な技術を有する者を技術系職員として採用し、実践的な研修を実施するなどして育成しており、これらの職員は、その専門知識を生かして、情報技術解析等の第一線で活躍している。
こうしたサイバー空間における脅威への対処のための人的基盤を強化するため、警察では、職員の採用・登用、教育・研修、キャリアパスの管理等を部門横断的かつ体系的に実施している。
(2)捜査員等に対する実践的研修
警察大学校サイバーセキュリティ対策研究・研修センター捜査研修室では、都道府県警察の捜査員等を対象とした高度な実践的研修を実施している。平成30年度以降、サイバーレンジ(注)を導入し、仮想環境下において実際の犯行手口や被害状況を再現することにより、最新の手口により行われるサイバー事案に対する実践的な捜査演習や、大規模なサイバー攻撃の被害事案を想定した訓練等を実施している。
また、警察庁では、高度な解析技術を持つ職員の育成を行うため、最新の技術を有する民間企業や研究機関との技術協力を推進している。
注:サイバー事案に対する実的な訓練を行うためのサイバー演習環境

MEMO サイバーセキュリティ対策研究・研修センターにおける取組
警察大学校サイバーセキュリティ対策研究・研修センター解析研究室では、ハードウェア及びソフトウェアに関する知識や技術を駆使して、電子機器の解析に関する研究や、犯罪に悪用され得る最先端の情報通信技術に関する研究を行っている。
自動運転システムの解析に関する研究
自動運転システムを備えた自動車にはカメラやレーダー等が搭載されており、同システムには事件・事故等の捜査に必要な情報が記録されている可能性があることから、自動運転システムの解析に関する研究を行っている。令和5年度は、自動車に対するサイバー攻撃に備え、学術機関及び民間企業の知見を活用し、自動車におけるセキュリティインシデントの解明に関する共同研究を行った。

学会における発表
MEMO サイバーコンテストの開催
警察庁では、都道府県警察の捜査員等を対象に、サイバー空間における脅威への対処に関する知識・技能を競うサイバーコンテストを開催している。同コンテストでは、実際の事案を想定したシナリオを使用し、捜査員等の知識・技能の向上を図るとともに、全国の優秀な人材の発掘に取り組んでいる。