特集 複雑化する社会に適応する警察組織と多彩な人材

第1部 特集・トピックス

複雑化する社会に適応する警察組織と多彩な人材

特集に当たって

本年の警察白書の特集テーマは、「複雑化する社会に適応する警察組織と多彩な人材」です。

近年、国内外の情勢は、著しい変化の最中にあり、人口減少・少子高齢化、情報通信技術の目覚ましい発展とサイバー空間の拡大、経済のグローバル化、経済安全保障を含む安全保障環境や地政学的な緊張の高まり、巨大地震のリスクや自然災害の激甚化・頻発化等の諸要素が、治安課題に多大な影響を与え、複雑化させています。

我が国の犯罪情勢は、令和3年までの19年間にわたって刑法犯認知件数が減少するなど、統計的な面においては着実に改善してきましたが、国民の体感治安の改善は限定的なものにとどまっています。その背景には、統計だけでは現れない社会の変容に伴う治安課題の複雑化や治安改善への期待があると考えられます。

複雑化する治安課題に対し、警察が的確に対処するためには、多彩な能力や豊富な知見を有する人材を確保・育成するとともに、こうした人材が活躍することができる環境を整備することが必要です。警察では、多彩な人材が相互に力を合わせて課題に取り組むことができる有機的な警察組織の構築に向けた取組を進めています。

この特集では、第1節で複雑化する警察の課題や治安に関する国民の意識の変化を概観し、第2節では、警察が複雑化する治安上の課題に的確に対処するための原動力である多彩な人材や、こうした人材が活躍することができる環境の整備等に向けた警察の取組について紹介します。そして、第3節では、今後も変容し続ける社会の中で、様々な治安課題に対応し、国民の安全・安心を確保し続ける観点から、サイバー空間における対処能力の向上に資する人材の確保・育成や、先端技術の活用等による警察活動の高度化等の今後の取組について展望します。

この特集が、複雑化する社会における警察の今後の取組についての国民の皆様の理解を深めるとともに、変わらずに国民の安全・安心を守り続けるための取組の在り方について考えていただく一助となれば幸いです。



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