2 極左暴力集団の動向と対策
(1)極左暴力集団の動向
暴力革命による共産主義社会の実現を目指す極左暴力集団は、依然として「テロ、ゲリラ」の実行部隊である非公然組織を擁するとともに、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んでいる。
令和4年中、極左暴力集団は、日米首脳会談・日米豪印首脳会合の開催や故安倍晋三国葬儀の実施を捉え、抗議行動を行った。また、反戦・反基地運動や反原発運動に取り組み、これらを通じて同調者や支持者の獲得を図った。
革マル派(注1)は、同年中、同派創始者である黒田寛一前議長の著作集等を活用した学習を機関紙で呼び掛けるなど、黒田前議長が提唱した理論の継承に引き続き取り組んだほか、令和2年に同派の活動家の一部が「革共同革マル派(探究派)を結成した」と表明した動きに対して、同年8月以降、機関紙で批判を開始し、その後、同活動家らと相互に批判を繰り返した。また、同派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、令和4年6月の定期大会において、引き続き、同派設立時の副議長であった松嵜明元JR東労組会長が提唱した労働運動理論に基づき組合活動を進めていく方針を決定した。
中核派(注2)は、同年2月、革共同第8回全国大会を開催した。同集会では、清水丈夫議長が、「7回大会の総括から党の変革を進め、労働者階級への絶対的信頼をもって、革命情勢を革命に転化するために全力で闘おう」と発言するなど、「階級的労働運動路線」を基本方針として各種闘争に取り組んでいくことを改めて確認した。
革労協主流派(注3)及び革労協反主流派(注4)は、同年の年頭の機関紙において、非公然組織「革命軍」のアピール文をそれぞれ発し、「武装闘争の飛躍」を主張した。
注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派という。
注2:正式名称を革命的共産主義者同盟全国委員会という。
注3:正式名称を革命的労働者協会(社会党社青同解放派)という。
注4:正式名称を革命的労働者協会(解放派)という。

「労働者・学生統一行動」(6月、東京)
CASE
極左暴力集団は、令和5年に開催されたG7広島サミット等に対し、機関紙等で「戦争反対!サミット粉砕!」などと主張し、抗議行動に取り組んだ。
このうち、G7広島サミットの開催に併せて広島市内で中核派が取り組んだ抗議行動において、当該サミットの警戒警備に従事していた警察官に暴行を加えた同派系全学連活動家2人を公務執行妨害罪で逮捕した(広島)。

G7広島サミットに対する抗議行動(5月、広島)
(2)極左暴力集団対策の推進
警察では、極左暴力集団による「テロ、ゲリラ」を未然に防止するための諸対策を推進しており、その過程で明らかになった違法行為は、厳正に取り締まっている。令和4年5月には、宿泊者名簿に虚偽の氏名等を記載し、提出した中核派非公然活動家ら4人を有印私文書偽造・同行使罪、旅館業法違反で逮捕した(警視庁)。