第7章 警察活動の支え

警察活動の最前線

男女共に生き生きと活躍できる警察署を目指して


警視庁上野警察署長

鈴木 佳枝(すずき よしえ)

 
ピーポくん

刑事ドラマが大好きで昭和58年に警視庁巡査を拝命しました。数少ない女性警察官の先輩から「女性警察官には警察官の能力+女性の特性が求められる」と教わりました。あれから約40年が過ぎ、女性警察官数は全体の10%を超えており、あらゆる部門に活躍の場が広がっています。職務に精励された先輩方の軌跡のたまものです。

現在、私は、明治8年(1875年)創立の警視庁上野警察署長として勤務しています。管内は、上野駅、上野恩賜公園、国立西洋美術館、寺社仏閣やアメ横等のショッピング街、歓楽街等、歴史と文化と賑わいが共生する魅力的な街で、約350名の署員と共に「敬天愛人」の署訓の下、チーム上野で治安維持に取り組んでいます。

警察は男性が多い職場ですが、多様な価値観や時代の変化に的確に対応するため、女性の視点や発想、共感力を積極的に取り込み、組織を強化してきました。出産や育児、介護に伴う制度の整備や職場環境も改善されました。女性が活躍できる職場は、間違いなく男性も活躍できる職場です。男女共に生き生きと力を発揮し、新時代に柔軟に適応できる強さと優しさを兼ね備えた警察署を目指して、街の安全・安心を守り抜く気概と矜恃(きょうじ)を胸に、署員と共に邁(まい)進してまいります。

 
警視庁上野警察署長 鈴木 佳枝

火災を防ぎ皇室の平穏を護る


皇宮警察本部坂下護衛署警備課警防係

藤田 和史(ふじた かずふみ)

 
皇宮標章

皇宮警察には主に火災予防と初期消火を担う「警防」という職務があります。10年ほど前、私が初めて警防勤務に就いたときは、乗車する車両がパトカーから警防車に変わることに戸惑うとともに、消防に関する専門的な知識・技能を習得する必要があり、苦労したことを記憶しています。

しかし、警防勤務の経験を重ねる中で、「なぜ消防ではなく警防が必要なのか」を強く認識するとともに、防火のカギを握るのは、管内を知り尽くした我々の迅速かつ確実な活動であると強く感じ、その任務の重みをかみしめて勤務しています。

今は部下を持つ警防係長という立場となりましたが、当時の自身の経験も踏まえ、若手への指導に際しては「厳しさの先の優しさで大切な部下の命を守る」を常に心掛け、安全かつ確実に現場活動を行う技術を習得させるよう督励し、高い士気の下、日々の活動に取り組んでいます。厳しい訓練の中でも、新しい技術を身につけるたびに良い笑顔を見せる部下を見ると、頼もしく、また、うれしい気持ちになります。

火災は人の命や財産を簡単に奪います。まずは管内で火災を起こさないこと、つまり皇居や御所が平穏であることを第一に、炎に負けない熱い気持ちを持ってこれからも警防勤務に従事していきます。

 
皇宮警察本部坂下護衛署警備課警防係 藤田 和史


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