警察活動の最前線
白バイ隊員の頂点を目指して
熊本県警察本部交通部交通機動隊訓練指導係
加藤 慎太郎(かとう しんたろう)

毎年10月に茨城県で開催される全国白バイ安全運転競技大会は、私たち白バイ特別訓練隊員にとって夢の舞台です。その舞台で全国の白バイ隊員の頂点という栄光をつかむため、ひいてはいかなる場面においても的確に職務執行を行えるよう運転技能を向上させ、道路交通の安全を維持するため、日々厳しい訓練を重ねています。大会は失敗が許されない一本勝負です。いつもと違う環境、初めて乗る車両、これまで経験したことのない緊張感の中で、その一本に全てを懸けるのです。
訓練中、ある上司から、「泣くも笑うもその一本で決まる。今、自分がすべきことを考えながら訓練に取り組むように」と言われたことがありました。その言葉に、毎日同じ訓練を繰り返していた私は、「慣れ」と「油断」という心の隙が生まれていたことに気付かされました。
白バイの取締り活動も、ある意味一本勝負だと思います。単に勝ち負けで判断するものではありませんが、一つの失敗、一つの判断ミスが事故につながる可能性があります。また、その一件の違反取締りが、違反者に交通ルールを理解してもらえる唯一の機会なのかもしれません。そういった意味では、訓練も取締り活動も、その時の一本、一件を大切にしなければならないと思いました。
私たち白バイ隊員は、悲惨な交通事故を一件でも減らすために活動をしています。その思いが伝わる取締り活動を心がけ、常に緊張感を持って頑張ります。

貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しについて
前 沖縄県警察本部交通部交通規制課規制係(現 沖縄県八重山警察署交通課長)
前泊 亮(まえどまり りょう)

沖縄県は、戦後の復興期から陸上交通のほとんどを自動車に依存してきたこともあり、那覇市、沖縄市等の都市部では、慢性的な交通渋滞や駐車違反が社会問題となっていました。昭和47年の沖縄県の本土復帰以降、沖縄県警察では、この問題の解決方策として都市部を中心とした駐車規制を重点的に実施してきました。
本土復帰から50年の歳月を経た中で、電子商取引の拡大等のライフスタイルの変遷に伴う宅配便の取扱い個数の増加や宅配ドライバーの「都市部での駐車スペース確保はとても厳しく、苦労している」、「配送のため駐車できる場所が増えれば、配送時間の短縮になる」といった生の声も踏まえつつ、沖縄県警察では貨物集配中の車両の駐車規制を見直すプロジェクトを開始しました。
このプロジェクトでは、交通事故の抑止と渋滞の緩和を図りつつ、貨物集配中の車両の駐車規制を緩和するという、相反するともいえる施策を調整することが求められたことから、地元自治体や関係団体等との合同現場調査、協議等を繰り返しながら、令和3年までに21区間において貨物集配中の車両を駐車規制から除外する規制の見直しを行いました。
今回の駐車規制の見直しによって、配送業務が合理化され、宅配ドライバーの労働条件の改善、ひいては過労運転による交通事故の防止へとつながれば、交通警察官としてこの上ない幸せです。
