第4章 組織犯罪対策

3 暴力団対策法の運用

指定暴力団員がその所属する暴力団の威力を示して暴力的要求行為(注)を行った場合等において、都道府県公安委員会は、暴力団対策法に基づき、中止命令等を発出することができる。中止命令等の発出件数の推移は、図表4-6のとおりである。

注:指定暴力団の暴力団員が指定暴力団の威力を示して行う不当な金品等の要求行為

 
図表4-6 暴力団対策法に基づく中止命令等の発出件数の推移(平成29年~令和3年)
図表4-6 暴力団対策法に基づく中止命令等の発出件数の推移(平成29年~令和3年)
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CASE

極東会傘下組織の組長の男(75)は、令和3年6月、自宅シャッター等の取付工事を拒否した建設会社の従業員に対し、「俺がやくざだから対応できないんだろ」、「何で工事をやらないんだ。おかしいだろう」などと告げて、自己が所属する暴力団の威力を示して、同工事を行うことを要求した。同月、埼玉県公安委員会は、同男に対し、暴力団対策法に基づき、暴力的要求行為を継続してはならない旨の中止命令を発出した(埼玉)。

MEMO 六代目山口組と神戸山口組の対立抗争と暴力団対策法の活用

六代目山口組と神戸山口組の間では、平成31年4月以降、拳銃を使用した殺人事件等が相次いで発生するなど、対立抗争が激化し、地域社会に大きな不安を与えた。こうした状況を受け、令和2年1月以降、関係府県の公安委員会が、暴力団対策法に基づき、特に警戒を要する区域(以下「警戒区域」という。)を定めた上で、両団体を「特定抗争指定暴力団等」に指定しており、その後も、対立抗争等の情勢に応じて警戒区域を追加するなどの措置を講じることにより、対立抗争に伴う市民への危害の防止に努めている。令和4年5月末現在、9府県16市町を警戒区域と定めている。

 
警戒区域内の暴力団事務所に貼付した標章
警戒区域内の暴力団事務所に貼付した標章


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