警察活動の最前線
犯罪捜査に資する情報技術の解析手法を模索し続ける
警察庁サイバー警察局情報技術解析課解析第三係
鮫島 優太(さめしま ゆうた)

私は、被疑者等が破壊を試み、損傷したスマートフォン等の修復やデータの抽出等の情報技術の解析を担当しています。私の所属する情報技術解析課高度情報技術解析センターには全国警察から激しく損傷した特に高度な解析を要する証拠品が持ち込まれるため、私は、高性能な解析用資機材を用いて微細な部品が密集した回路基板の調査・修復を行い、データの抽出を行っています。
昨年、ある県警の捜査員から「盗撮事犯の被疑者が証拠隠滅を図り、焼いたり、水に漬けるなど、様々な手法で破壊が試みられたスマートフォンを1週間以内に修復してほしい」という相談を受け、解析を実施したことがありました。
このような事例は初めてだった上に期限も短く、さらに、内部が激しく損傷しているとのことだったため、修復できないかもしれないと不安でした。
しかし、これで諦めるわけにはいきません。私は、期間内に修復するために必要となる解析方法等を調査し、懸命に対応したところ、3日間で修復することができました。
その後、捜査員から、私が修復に成功したスマートフォンから証拠となるデータを発見することができ、被疑者の検挙に至ったと連絡があり、改めてやりがいを感じました。
激しく損傷したスマートフォンの修復は非常に困難であり、修復まで長期間を要することもあるなど、つらいこともありますが、技術の進展に対応し続けることができるよう、最新の解析手法に関する情報の収集に不断に努めるとともに、粘り強く解析を実施することで犯罪捜査により一層貢献できるよう常に心掛けています。

サイバー空間の安全・安心の確保に貢献する仕事
東京都警察情報通信部情報技術解析課技術支援第二係
蒔苗 博充(まかなえ ひろみつ)

私は、警視庁と連携して東京都内の重要インフラ事業者等を訪問し、最新の技術動向等の情報提供やセキュリティ対策の助言等を行っているほか、サイバー事案対策に関する講演や共同対処訓練に参画するなど、サイバー空間の安全・安心を守るための業務を担当しています。
最近は、企業や自治体等が不正アクセスを受け、ランサムウェアに感染するなどの被害に遭ったというニュースを目にする機会が特に増加していると感じています。実際にサイバー事案による被害に遭った場合、その企業や自治体等の活動が単に停止するだけでなく、国民生活に支障を来すということを企業や自治体等がしっかりと認識し、被害を最小限にとどめるためのセキュリティ対策を講じることが大変重要です。
そのためには、現に発生しているサイバー事案がどのようなものかを理解してもらうことが重要であり、講演や訓練を企画する際には、解析によって得られたマルウェアの機能や特徴のほか、不正アクセスの侵入経路等の情報を整理して盛り込むなど、可能な限り実例を反映させるよう工夫して取り組んでいます。
私の業務は、サイバー空間の安全・安心を守るために技術的な知識や経験を生かして貢献することができる大変重要な仕事であると認識しています。日々の地道な努力を積み重ねて、安心・安全を実感できる社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。
