第4章 安全かつ快適な交通の確保

4 高速道路における交通警察活動

(1)高速道路ネットワークと交通事故の状況

令和2年末現在、高速道路は213路線であり、その総延長距離は1万3,000キロメートルを超えている。令和2年中の高速道路における死者数は114人と、前年より49人(30.1%)減少した。

 
図表4-42 高速道路における交通事故発生件数・死者数の推移(平成23年~令和2年)
図表4-42 高速道路における交通事故発生件数・死者数の推移(平成23年~令和2年)
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(2)高速道路における交通の安全と円滑の確保

① 道路管理者と連携した交通安全対策

警察では、交通事故の発生状況を詳細に分析し、死亡事故等の発生地点や交通事故の多発地点等における現場点検を道路管理者と共同して実施し、必要な対策を協議・検討するとともに、パトロール等を強化している。特に、逆走が原因となる交通事故や、中央帯がなく、往復の方向別に分離されていない区間における対向車線へのはみ出しによる交通事故が後を絶たないことから、道路管理者と連携し、誤進入防止のための道路交通環境の改善や、対向車線へのはみ出しを防止するための道路の中央部へのワイヤロープの設置等を推進している。また、渋滞発生時には、的確な臨時交通規制を実施するほか、迅速に道路管理者と情報共有を行い、道路情報板や後尾警戒車の活用等による渋滞区間における追突事故の防止を図っている。

② 安全利用のための広報啓発及び交通安全教育

警察では、高速道路の安全利用のため、関係機関・団体等と連携して、交通事故の発生状況や逆走の危険性等に関する広報啓発活動を行うとともに、車両故障や交通事故等により運転が困難となった場合の措置等に関する参加・体験・実践型の交通安全教育を行っている。

③ 交通事故抑止に資する交通指導取締り

警察では、妨害運転や著しい速度超過、飲酒運転、車間距離不保持、通行帯違反等の悪質性・危険性の高い違反に重点を置いた取締りを推進している。また、全ての座席でのシートベルトの着用及びチャイルドシートの使用の徹底を図るため、関係機関・団体等と連携した普及啓発活動を推進するとともに、令和2年中はシートベルト装着義務違反を11万7,452件取り締まった。

MEMO 高速道路における100キロメートル毎時を超える規制速度

警察では、平成28年3月の「高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言」を踏まえ、平成29年11月には新東名高速道路の一部区間において、同年12月には東北自動車道の一部区間において、規制速度を110キロメートル毎時へ引き上げる試行を実施した後、平成31年3月からは、両区間の規制速度を120キロメートル毎時へ引き上げる試行を実施してきた。

試行期間中における交通事故実態等を分析した結果、試行前と比べて死傷事故率等に大きな変化はなかったことから、令和2年8月、交通規制を実施する場合の標準を示す交通規制基準を改正し、高速道路において100キロメートル毎時を超える最高速度規制を実施する場合の基準を定めた。

同基準に基づいて、令和2年9月には東北自動車道の花巻南インターチェンジから盛岡南インターチェンジまでの区間において、同年12月には新東名高速道路の御殿場ジャンクションから浜松いなさジャンクションまでの区間において、それぞれ規制速度を120キロメートル毎時とする規制を開始した。



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