第3章 組織犯罪対策

警察活動の最前線

準暴力団等対策の先駆けとなった大阪府警捜査第四課捜査員達の執念


大阪府警察本部刑事部捜査第四課準暴力団対策第二担当準暴力団対策第四係

仲上 知宏(なかうえ ともひろ)

 
フーくん・ケイちゃん

拝命からの念願であった大阪府警の捜査第四課に配属され、昨年新設された準暴力団対策専従班で勤務を始めた矢先、大阪府下の準暴力団等による凶器準備集合・傷害事件が発生したことから、鼻息の荒い屈強な班員とともに、府民の大きな脅威である準暴力団等に対する捜査に着手することとなりました。

発生当日に合同捜査本部を設置し、班員全員が「絶対に捕まえる」という執念を燃やし、SNS等に対する捜査をはじめ、時代に即した捜査に尽力するとともに、取調官の粘り強い理詰めの取調べにより、主要幹部をはじめ16名の被疑者全員を割り出すことができました。

この事件はマスコミでも大きく取り上げられ、勢力を拡大し続ける準暴力団等に、「大阪では絶対に好き勝手をさせない」という府警の揺るぎない姿勢を示しました。今後、大阪ではIR誘致や万博開催を控えていますが、より一層暴力団排除活動を強化していくことはもちろん、あらゆる法令を駆使しながら準暴力団等の取締りも強化して、資金源の剥奪や組織の壊滅に努めていく所存です。

 
大阪府警察本部刑事部捜査第四課準暴力団対策第二担当準暴力団対策第四係 仲上 知宏

社会ネットワーク分析を活用した犯罪組織分析


警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策総務課情報分析2係

瀨戸山 浩一(せとやま こういち)

 
ピーポくん

現在、私は、情報分析室において、暴力団をはじめとした犯罪組織の壊滅・弱体化に向け導入している社会ネットワーク分析という手法を活用した犯罪組織分析に取り組んでいます。

社会ネットワーク分析は、個人の情報に主眼を置いたものではなく、人と人との関係性を可視化し、グループ内の中心人物やグループ間の関係を推定する分析手法であり、当室では、これまでの捜査や取締りを通じて集約してきた各種情報を基に犯罪組織のメンバーや周辺者等の人間同士の関係を図表化することで、真に影響力がある者、組織間の仲介者、潜在化しているグループ等の推定を行っています。この手法は、準暴力団等のような明確な組織形態が無く、人と人のつながりが流動的である組織の解明にも有効と考えられます。これまで社会ネットワーク分析により犯罪組織における「中心人物」を抽出し、それにターゲットを絞った捜査を展開して検挙するなど一定の成果を上げています。今後も更なる情報の収集と分析を深化させ、犯罪組織に真のダメージを与えられる対策に取り組んでいきたいと思います。

 
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策総務課情報分析2係 瀨戸山 浩一


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