第3章 組織犯罪対策

3 犯罪収益の剝奪

犯罪収益が、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するためには、これを剝奪することが重要である。警察では、没収・追徴の判決が裁判所により言い渡される前に犯罪収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用して没収・追徴の実効性を確保している。

(1)没収・追徴の状況

第一審裁判所において行われる通常の公判手続における組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況は、図表3-24のとおりである。

 
図表3-24 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(平成27年~令和元年)
図表3-24 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(平成27年~令和元年)
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(2)起訴前の没収保全

令和2年中における起訴前の没収保全命令は、組織的犯罪処罰法で賭博事犯、入管法違反、窃盗、風営適正化法違反、詐欺、ヤミ金融事犯等に関して150件(前年比19件(11.2%)減少)発出され、麻薬特例法で18件(前年比10件(125.0%)増加)発出されている。

 
図表3-25 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(平成28年~令和2年)
図表3-25 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(平成28年~令和2年)
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CASE

飲食店経営の男(51)は、平成29年4月から令和2年2月にかけて、無許可で風俗営業店2店舗を営んでいた。令和2年3月、同男を風営適正化法違反(無許可営業)で検挙するとともに、押収した現金約140万円と預金債権等約2,110万円に対して、組織的犯罪処罰法の規定に基づく起訴前の没収保全命令が発出された(福岡)。



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