第3章 組織犯罪対策

2 マネー・ローンダリング関連事犯の検挙状況

マネー・ローンダリングとは、一般に犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法において、マネー・ローンダリングが罪として規定されている。

マネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、図表3-23のとおりであり、令和2年中は600件(前年比63件(11.7%)増加)であった。前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては窃盗に係るものが227件、詐欺に係るものが194件、電子計算機使用詐欺に係るものが73件、ヤミ金融事犯に係るものが28件となっている。

令和2年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは58件で、全体の9.7%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが15件、ヤミ金融事犯に係るものが11件、賭博事犯に係るものが10件、窃盗に係るものが9件あり、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を敢行している実態がうかがわれる。

また、令和2年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は79件で、全体の13.3%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが34件、窃盗に係るものが23件、入管法違反に係るものが8件、電子計算機使用詐欺に係るものが6件あり、日本国内に開設された他人名義の口座を利用したり、偽名で盗品等を売却するなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。

注:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリングの対象となるもの

 
図表3-23 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成23年~令和2年)
図表3-23 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成23年~令和2年)
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CASE

会社役員の男(20)らは、令和元年6月、役場職員等になりすましてだまし取ったキャッシュカードを利用し、被害者の預金口座から同男らが管理する別口座へ100万円を振替送金して隠匿した。令和2年7月、同男らを組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で逮捕した(警視庁)。



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