第7章 警察活動の支え

警察活動の最前線

「明日を生きる」お手伝いを


佐賀県警察本部警務部広報県民課犯罪被害者支援室

藤 仁美(とう ひとみ)

 
ごろうくん

平成から令和に移り変わるのと時期を同じくして、私は、精神科病院から佐賀県警察に臨床心理士として参りました。前職では、カウンセリングや心理検査のほかに、加害者支援を行っていました。現在は佐賀県警察職員の一員として、犯罪被害者支援に携わるようになり、これまでの経験をいかして、被害に遭われた方々に接しています。

「人生に一度起こるか起こらないかの最悪の出来事」

ある犯罪被害に遭われた方が、自身の被害をそう表現されました。日常が崩れる絶望、悲しみ、憤り。被害に遭われた方々は、体験したことがない強いストレスに晒されることから、身体的にも精神的にも不調が伴います。それゆえ、被害に遭われた方々の劇的な回復は難しいものです。目に見えない変化かもしれませんが、少しずつ若葉が芽吹くように、被害に遭われた方々が明日を生きる力を育んでいけるようなお手伝いをすることが私の責務です。現場の警察官や他機関と連携して、これからも一人一人に寄り添った支援に努めていきます。

また、警察職員として働く中で、警察官の職務の過酷さを目の当たりにし、臨床心理士として自分を労る時間を持つことの大切さも広めていきたいと思っています。被害に遭われた方だけでなく、被害に遭った方々の支援を行う警察官の支えにもなっていきたいです。

 
佐賀県警察本部警務部広報県民課犯罪被害者支援室 藤 仁美

教官心、親心


福井県警察学校教務第一係(現 福井県警察本部警務部警務課企画室企画第一係)

島﨑 智恵(しまさき ともえ)

 
リュウピー君・リュウミーちゃん

「厳しくも愛情を持って接すること」「頑張ったときは褒めてあげること」

私がこれまで3人の息子を育ててきた中で、必ず心掛けてきたことです。

そして現在、教官として学生を指導するときにも、常にこの思いを実践するように心掛けています。

入校当初、ランニング等の訓練についていけず、すぐに倒れ込む学生がいました。体力がなければ、警察官として現場任務をこなすことはできません。彼女が弱気を見せるたびに「自分に甘えたらあかん」と厳しく指導しました。彼女は涙ぐみながら、来る日も来る日も訓練に必死についていっていました。

ある日、いつの間にかランニングを完走できるようになっていた彼女に「よく頑張ってるね」と声を掛けました。彼女は少しはにかんだ様子で嬉しそうでした。ひとつ自信がついたからか、何事にも積極性が出て、前向きに取り組み始めました。

この学生に限らず、警察学校の学生は皆、時にはくじけそうになりながらも一人前の警察官になるために頑張っています。そんな学生たちが晴れて迎えた卒業式では、入校当初と比べて顔つきも精悍になり、保護者の方々に敬礼しながら退場する姿を見送る際には、喜び半分、寂しさ半分、自然と目頭が熱くなります。

厳しい現場でも決してくじけることなく、警察官として活躍してくれることを願うばかりです。

 
福井県警察学校教務第一係(現 福井県警察本部警務部警務課企画室企画第一係) 島﨑 智恵


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