第6章 公安の維持と災害対策

警察活動の最前線

祝賀御列の儀側車儀衛に従事して


皇宮警察本部護衛部護衛第一課

澤野 祐司(さわの ゆうじ)

 
皇宮標章

令和元年11月10日、立冬を過ぎた日とは思えないほど暖かい日差しの下、皇居宮殿の東庭にオーケストラの華やかな演奏が響く中、天皇陛下が広く国民に御即位を披露され、祝福を受けられる祝賀御列の儀が執り行われました。私は、歴史的な儀式に携わっていることへの緊張と高揚した気持ちを感じながら、サイドカーによる儀衛に従事しました。同儀式は29年ぶりに行われることから、前回の儀式を参考に、儀衛の編成はどうあるべきか、サイドカー6台を等間隔で走行させるにはどういった訓練が有効か、同僚と知恵を出し合いながら事前に訓練を繰り返しました。

また、本番1ヶ月前の10月6日に実施されたリハーサルの結果を踏まえ、宮内庁職員や警視庁警察官と走行位置等について何度も調整を行いました。

全行程約4.6キロメートル、約30分間の走行でしたが、当日は、沿道や上空への警戒をしつつも天皇皇后両陛下が乗車されたオープンカーに合わせた走行に注意し、終了後には、これまでの訓練や調整が実を結び、無事に任務を完遂できたことに大きな達成感を得ることができました。

沿道で日の丸の小旗を振りながら祝意を表す約12万の人々を目の当たりにし、皇室に向けられた敬愛の気持ちに胸を打たれるとともに、皇室の方々のお側で護衛に従事する皇宮護衛官の任務の重さを再認識しました。今後も誇りと使命感を胸に、自身の任務の完遂に向け努力を続けていきたいと思います。

 
皇宮警察本部護衛部護衛第一課 澤野 祐司

警察官としての使命感を胸に


新潟県新潟東警察署地域課署長直轄隊

関口 美明(せきぐち みあき)

 
ひかるくん

昨年10月の令和元年東日本台風(台風第19号)(注)に伴う災害において、私たち新潟県警察広域緊急援助隊警備部隊は、とりわけ甚大な被害に見舞われた福島県へ出動しました。

福島県に入ると、道路には土砂が流れ込み、道端には壊れて使えなくなったであろう電化製品が山積みにされており、道中、部隊のバスから見えた光景だけでもただ事ではないことが分かりました。

私はいわき市内の夏井川付近で、行方不明となった高齢女性を捜索する任務に就きましたが、河川付近は氾濫した水と生い茂った藪(やぶ)の影響で、私の前を進む隊員の姿すら目視できず、声を頼りに捜索を続ける状況にあり、捜索は困難を極めました。

捜索2日目、1日目と同じ藪の中を諦めず捜索するという小隊長の指揮により、私と分隊長は、声を出して他の隊員と連携を取りながら捜索を続けました。その結果、藪をかき分けて突き進んだ先で行方不明者を発見することができましたが、残念ながらその方は既に亡くなっていました。身元確認に来られた親族の方が、御遺体に向かって「ごめんね、ごめんね」と泣きながら謝っている姿を見て、胸が締め付けられる思いでした。

この先、部隊活動の現場で出会う人が少しでも悲しい思いをしなくて済むように、警察官としての使命感を胸に、これからも精進していきたいと思います。

注:185頁参照

 
新潟県新潟東警察署地域課署長直轄隊 関口 美明


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