警察活動の最前線
働くママは白バイ隊員
警視庁第九方面交通機動隊
谷 舞子(たに まいこ)
「ママだからって諦めることはない。自分の好きな仕事をしなよ」
結婚、出産、育児と人生の岐路に立つたび、白バイ乗務員を諦めようとした私に、夫が掛けてくれた言葉です。縁あって、交通機動隊で勤務することになりましたが、当時は白バイに乗務できる喜び以上に、1歳の息子の子育てをしながら勤務することに不安を抱えていました。
着任当初は慣れない勤務の中、慌ただしく過ごしていましたが、周囲の支えもあって少しずつ余裕ができ、今では白バイ乗務が天職と思えるほど、やりがいを持って仕事をしています。
交通違反取締りの現場では、単に違反を告知するだけではなく、可能な限り安全運転に関するアドバイスをし、運転者に交通事故防止への意識を高めてもらえるよう努めています。以前、信号無視の取締りを行った際、最初は不機嫌な態度だった相手から、最後は笑って感謝と激励の言葉を掛けてもらったことがあります。取締りによる効果に加え、運転者のマナー向上につながればという願いを込め、今後も続けていきたいと思います。
交通事故は、誰もが当事者になり得る身近に潜む危険といえます。私は白バイ隊員として、今後も悲惨な交通事故の減少に貢献できるように努め、家事・育児においても手を抜くことなく、公私において任務遂行できるよう頑張っていきたいと思います。
今、求められる交通事故分析の高度化
滋賀県警察本部交通部交通企画課統計分析係
後藤 寛(ごとう ひろし)
交通事故を減らすために今日まで様々な施策が執られ、全国的に交通事故死者数は着実に減少していますが、このような施策の基となるのが交通事故分析です。今後も交通事故死者数の減少傾向を維持するには、真に事故抑止につながる的を射たエビデンスとしての分析結果が求められます。
滋賀県では、平成29年以来、GIS(地理情報システム)を活用して事故多発ゾーン(路線)を特定し、交通指導取締り・交通安全教育・道路環境整備等を集中的に行うという活動を実施し、毎年これを検証しながらPDCAサイクルを回しています。昨年は多発ゾーンにおける交通事故を25%減少させることができました。
このような活動を、主に交通関係団体のシンポジウム等において紹介させていただく機会を何度か得ましたが、いずれの場においても「警察はここまで深く考えて活動しているのですね」などと賞賛とともに励ましの声をいただきました。
このような声を励みに、今後は、高齢ドライバーを中心とした車両の走行履歴や運転者の挙動データを集積し、産学官の連携により交通事故との相関を分析することにチャレンジするなど、更なる交通事故分析の高度化に取り組んでまいります。