第3章 サイバー空間の安全の確保

2 技術支援と解析能力の向上

(1)犯罪の取締りへの技術支援

情報化社会の進展は、匿名性が高く、追跡が困難なサイバー空間を利用した様々な犯罪の敢行を容易にさせており、こうした犯罪の取締りにおいては、高度な技術的知見が必要となっている。

このため、警察では、警察庁及び地方機関に情報技術解析課を設置し、都道府県警察に対して、捜索差押え現場でコンピュータ等を適切に差し押さえるための技術的な指導や、押収したスマートフォン等から証拠となる情報を取り出すための解析を実施する技術支援を行っている。

また、警察庁に設置された高度情報技術解析センターでは、高度で専門的な知識及び技術を有する職員を配置するとともに、高性能な解析用資機材を整備し、破損した電磁的記録媒体からの情報の抽出・可視化、コンピュータ・ウイルス等の不正プログラムの解析等を行っている。

 
図表3-5 犯罪の取締りへの技術支援
図表3-5 犯罪の取締りへの技術支援

(2)解析能力向上のための取組

近年、コンピュータ・ウイルス等の不正プログラムを悪用したサイバー犯罪・サイバー攻撃が多発する中、その手口の巧妙化・多様化により、不正プログラム解析には極めて高い技術力が求められている。また、IoT機器をはじめとする新たな電子機器やそれに関連するサービスの社会への定着、スマートフォン等のアプリの多様化・複雑化、自動運転システムの実現に向けた技術開発等が進む中、警察捜査を支えるためには、最新の技術に対応した解析能力の向上を図っていく必要がある。

そのため、警察では、解析手法の開発や資機材の整備、高度な解析技術を持つ職員の育成のほか、犯罪に悪用され得る最先端の情報通信技術の調査・研究(注)を推進している。

注:サイバーセキュリティ対策研究・研修センターにおける研究の内容については、28頁(トピックスII 科学技術を支える取組)参照

MEMO 国内外研究機関への職員派遣

警察では、電子機器の解析やサイバー犯罪・サイバー攻撃への対策に資する最先端の研究を行っている国内外の研究機関に職員を派遣し、不正プログラムの解析手法や、今後悪用され得るネットワークを利用したサービス等に関する調査を実施し、解析能力の向上に努めている。

 
調査内容の発表状況
調査内容の発表状況


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