第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

7 良好な生活環境の保持

(1)風俗営業等の状況

① 風俗営業の状況

警察では、風営適正化法に基づき、風俗営業等に対して必要な規制を加えるとともに、風俗営業者等の自主的な健全化のための活動を支援し、業務の適正化を図っている。

 
図表2-46 風俗営業の営業所数の推移(平成27~令和元年)
図表2-46 風俗営業の営業所数の推移(平成27~令和元年)
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② 性風俗関連特殊営業の状況

性風俗関連特殊営業の状況についてみると、近年、無店舗型性風俗特殊営業の届出数が増加している一方で、店舗型性風俗特殊営業及び電話異性紹介営業の届出数は減少傾向にある。

 
図表2-47 性風俗関連特殊営業の届出数の推移(平成27~令和元年)
図表2-47 性風俗関連特殊営業の届出数の推移(平成27~令和元年)
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③ 深夜酒類提供飲食店営業の状況

深夜酒類提供飲食店の営業所数は、近年減少傾向にある。

 
図表2-48 深夜酒類提供飲食店の営業所数の推移(平成27~令和元年)
図表2-48 深夜酒類提供飲食店の営業所数の推移(平成27~令和元年)
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④ 特定遊興飲食店営業の状況

平成28年に風営適正化法の一部を改正する法律が全面施行されたことにより、深夜に客に遊興と飲酒をさせる特定遊興飲食店営業が、営業所設置許容地域において許可制の下で営業可能になった。令和元年末現在、特定遊興飲食店営業の許可を受けた営業所数は、404軒である。

(2)売春事犯及び風俗関係事犯の現状

① 売春事犯

売春事犯の検挙件数及び検挙人員は近年減少傾向にある。最近では、出会い系サイト(注)を利用して、売春の周旋をする目的で、人を売春の相手方となるように誘引する事犯や、マッサージ店を仮装して、不特定多数の男性客を相手に売春をさせる事犯がみられる。

注:面識のない異性との交際(以下「異性交際」という。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれを伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供するウェブサイト等

 
図表2-49 売春防止法違反の検挙状況の推移(平成27~令和元年)
図表2-49 売春防止法違反の検挙状況の推移(平成27~令和元年)
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売春組織の統括責任者の男(32)らは、平成30年10月、大阪市内の路上において、女性に対し、同男らが出会い系サイトを利用して誘引した不特定の男性客を売春の相手方として紹介した。平成31年1月及び2月、同男ら2人を売春防止法違反(周旋)で逮捕した(大阪)。

② 風俗関係事犯

風営適正化法による検挙件数及び検挙人員は、近年減少傾向にある。最近では、繁華街・歓楽街において組織的に客引きを行う事犯がみられる。

また、わいせつ事犯に関しては、近年、インターネットを利用して、わいせつな行為をしている映像を配信する事犯やわいせつな画像情報が記録されたDVD等を販売する事犯がみられる。

さらに、賭博事犯に関しては、ウェブサイトを利用した賭博事犯がみられるほか、店舗の内外に複数の監視カメラを設置する、見張り役の従業員を常時配置する、身分確認を行って常連客以外の客を排除するなど、警察の取締りから逃れるための対策が巧妙化している。

 
図表2-50 風営適正化法違反の検挙状況の推移(平成27~令和元年)
図表2-50 風営適正化法違反の検挙状況の推移(平成27~令和元年)
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図表2-51 わいせつ事犯の検挙状況の推移(平成27~令和元年)
図表2-51 わいせつ事犯の検挙状況の推移(平成27~令和元年)
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無職の女(25)らは、自宅等において、わいせつな行為をしている映像をインターネット上の動画配信サイトを利用してライブ配信して不特定の視聴者らに閲覧させた。令和元年6月、同女ら2人を公然わいせつ罪で逮捕した(警視庁)。

(3)人身取引事犯等への対策

① 検挙・保護の状況

警察では、平成26年に政府が策定した「人身取引対策行動計画2014」等に基づき、出入国在留管理庁等の関係機関と連携し、水際での取締りや悪質な経営者、仲介業者等の取締りを強化し、被害者の早期保護及び国内外の人身取引の実態解明を図っている。また、関係国の大使館、被害者を支援する民間団体等と緊密な情報交換を行っているほか、被害者の早期保護のため、警察等に被害申告するように多言語で呼び掛けるリーフレットを作成し、関係機関・団体等に配布するとともに、被害者の目に触れやすい場所に備え付けるなどの取組を行っている。

令和元年中の人身取引事犯の検挙人員は39人で、このうち風俗店等関係者が8人、仲介事業者が1人であった。また、警察で保護した人身取引事犯の被害者は44人で、その国籍の内訳は、日本(34人)、フィリピン(9人)及びブラジル(1人)であった。被害者の性別は、全て女性であった。

 
図表2-52 人身取引事犯の検挙状況の推移(平成27~令和元年)
図表2-52 人身取引事犯の検挙状況の推移(平成27~令和元年)
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図表2-53 人身取引事犯の被害者の保護状況の推移(平成27~令和元年)
図表2-53 人身取引事犯の被害者の保護状況の推移(平成27~令和元年)
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人身取引事犯対策の広報ポスター
人身取引事犯対策の広報ポスター
 
人身取引事犯の被害者向けリーフレット
人身取引事犯の被害者向けリーフレット

CASE

キャバレー経営会社の役員の男(66)らは、平成31年2月から同年4月にかけて、同社が経営するキャバレーにおいて、興行の資格で入国したフィリピン国籍の女性6人を、客の接待等を行うホステスとして従事させた。令和元年5月、同男らを入管法(注)違反(不法就労助長)で逮捕した(新潟)。

注:出入国管理及び難民認定法

② アダルトビデオ出演強要問題への対策

詐欺・脅迫的な言動によって、アダルトビデオへの出演を強要等される問題に対し、警察では、各都道府県警察で指定されたアダルトビデオ出演強要問題専門官を中核として、各種法令を適用した厳正な取締り、被害防止のための広報啓発、相談体制の充実等を推進している。

(4)銃砲刀剣類の適正管理と危険物対策

① 銃砲刀剣類の適正管理

令和元年末現在、銃刀法(注)に基づき、都道府県公安委員会から9万2,340人が、18万4,675丁の猟銃及び空気銃の所持許可を受けている。令和元年中、申請を不許可等とした件数は33件、所持許可を取り消した件数は52件であった。また、猟銃等の事故及び盗難を防止するため、毎年一斉検査を行うとともに、講習会等を通じて適正な取扱いや保管管理の徹底について指導を行う一方、危害予防上支障のない範囲で猟銃等の所持許可に伴う申請者の負担軽減を図るための措置を講じている。

警察では、銃刀法を厳正に運用し、銃砲刀剣類の所持許可の審査と行政処分を的確に行って不適格者の排除に努めるなど、銃砲刀剣類による事件・事故の未然防止に努めている。

注:銃砲刀剣類所持等取締法

 
図表2-54 猟銃及び空気銃の許可所持者の推移(平成27~令和元年)
図表2-54 猟銃及び空気銃の許可所持者の推移(平成27~令和元年)
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図表2-55 猟銃及び空気銃の許可丁数の推移(平成27~令和元年)
図表2-55 猟銃及び空気銃の許可丁数の推移(平成27~令和元年)
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図表2-56 猟銃等所持不適格者の排除状況の推移(平成27~令和元年)
図表2-56 猟銃等所持不適格者の排除状況の推移(平成27~令和元年)
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② 危険物対策

火薬類、特定病原体等、放射性物質等の危険物の運搬に当たっては、火薬類取締法、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、放射性同位元素等の規制に関する法律、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の規定に基づき、都道府県公安委員会にその旨を届け出ることとされている。

警察では、これらの危険物が安全に運搬されるよう、関係事業者に対して事前指導や指示等を行うとともに、これらの危険物の取扱場所への立入検査等により、その盗難、不正流出等の防止に努めている。

 
図表2-57 運搬届出・立入検査の状況(令和元年)
図表2-57 運搬届出・立入検査の状況(令和元年)
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(5)環境事犯対策

① 廃棄物事犯(注)

令和元年中の廃棄物事犯の検挙事件数の約半数を、廃棄物の不法投棄事犯が占めている。

警察では、引き続き環境行政部局との人的な交流や情報交換を行うなどし、早期発見・早期検挙に努めている。

注:廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反に係る事犯

 
図表2-58 廃棄物事犯の検挙状況の推移(平成22~令和元年)
図表2-58 廃棄物事犯の検挙状況の推移(平成22~令和元年)
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② 動物・鳥獣関係事犯(注)

令和元年中の動物・鳥獣関係事犯の検挙事件数のうち、違法に捕獲等した鳥獣を飼養するなどの鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律違反や希少動物を違法に取引するなどの絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律違反等が約半数を占めている。また、犬、猫等を殺傷するなど、動物愛護管理法違反も引き続き検挙されている。

注:動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」という。)、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律違反等に係る事犯

 
図表2-59 動物・鳥獣関係事犯の検挙状況の推移(平成22~令和元年)
図表2-59 動物・鳥獣関係事犯の検挙状況の推移(平成22~令和元年)
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無職の男(29)は、平成30年11月、神奈川県内の河川敷において、劇物を含有する殺虫剤を混入させた餌を摂取させて猫3匹を殺傷した。平成31年2月に、同男を動物愛護管理法違反(愛護動物の殺傷)で検挙した(神奈川)。

(6)探偵業の状況

令和元年中の探偵業法(注1)での検挙件数は6件、行政処分件数は33件(営業廃止2件、営業停止2件、指示処分29件)であった。警察では、探偵業法に基づき、探偵業者(注2)の業務実態を把握し、違法行為に対しては厳正に対処するとともに、業界の全国組織である一般社団法人日本調査業協会や認可法人全国調査業協同組合等との連携の下、研修会等を通じて、探偵業務の運営の適正化を図っている。

注1:探偵業の業務の適正化に関する法律

注2:探偵業の届出数(営業所数)は6,066件(令和元年末現在)



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