警察活動の最前線
オールジャパンで国際犯罪組織の壊滅に取り組みたい
鹿児島県警察本部
刑事部組織犯罪対策課国際犯罪捜査係
帖佐 正樹(ちょうさ まさき) 警部補

鹿児島県で国際犯罪!?そんな訳ないだろうと半信半疑で捜査を開始したところ、国際的な犯罪組織がアメリカ合衆国で敢行した詐欺事件の被害金が日本国内の金融機関へ送金され、それをナイジェリア人らが払い戻したマネー・ローンダリング事犯であることが分かりました。
その後、ICPOやFBI(注)に捜査協力をお願いしてアメリカにいる被害者から事情聴取してもらうと同時に、これまでに同種事件の検挙事例がある他府県警察からも協力を受け、捜査のポイントなどを聞くことで効果的な捜査を行い、ナイジェリア人を含む被疑者らを検挙することができました。この事件は、関係機関と他府県警察の協力がなければ検挙が難しい事件だったと思います。
現在、オリンピックなどを控えて来日外国人は増加の一途をたどっていますが、善良な外国人に紛れて国際犯罪組織も日本に入ってくる可能性があると思います。
そのような情勢の中、私は、全国の都道府県警察がオールジャパンの精神で連携するとともに、日本国内のみならずグローバルな視野を持って、国際犯罪組織に立ち向かうことで、その壊滅ができると考えており、鹿児島の治安維持から日本の平和を作る気持ちで、国際犯罪組織の実態解明・壊滅を目標にして日々の業務に従事しています。
(注)Federal Bureau of Investigation(米国司法省連邦捜査局)の略

情報技術解析課のやりがい
中部管区警察局愛知県情報通信部
情報技術解析課解析調整専門官
鶴田 勉(つるた つとむ) 技官

平成29年11月の早朝に一本の電話が入りました。内容は「死亡ひき逃げ事件が発生した。事故の様子を撮影した後続車のドライブレコーダーの動画が消えてしまっているため早急に復元して欲しい」というものでした。被疑者はいまだ捕まっておらず、動画の復元が急がれる状況であったことから、解析要請を受けて直ちに解析に取りかかりました。
数時間かけて解析作業を実施し、復元は完了したものの、動画データは破損しており、正常に再生できない状態でした。手元にある多くの技術書やインターネットを利用して収集した技術情報を参考に、破損した動画データの修復を試みましたが、事故の肝心な部分は確認できませんでした。しかし、ここで諦めてはダメだと思い、高度な解析技術と多くの解析経験を有する警察庁情報通信局高度情報技術解析センターに状況を説明し、相談をしたところ、細部にわたる詳細な状況確認とその情報に基づく適確な技術情報や参考情報などを、長時間かけてアドバイスしてもらい、その結果見事に事故状況を撮影した画像を抽出することができました。
諦めない心と警察の情報通信部門の一丸となった対応により、捜査部門の要望に早急かつ十分に応えることができ、これぞ情報技術解析課冥利に尽きると感じた一件でした。これからも、こうした満足感が得られるよう日々解析業務の技術力向上に努めていきたいと思います。

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。