トピックス

トピックスI 登下校時における子供の安全を守るための警察の取組

(1)子供が被害者となる犯罪の現状

近年の犯罪情勢をみると、道路上における身体犯(注)の認知件数は、最近5年間で減少しているが、このうち、13歳未満の子供が被害者となった件数は、ほぼ横ばいで推移している。

また、13歳未満の子供の被害は、平日の登下校時、特に15時から18時の下校時間帯に集中している。

注:殺人、暴行、傷害、強制性交等、強制わいせつ、逮捕監禁及び略取誘拐のうち、道路法第3条の一般国道、都道府県道若しくは市町村道又は一般交通の用に供する私道で行われたもの

 
図表I-1 道路上における身体犯の認知件数の推移(平成26~30年)
図表I-1 道路上における身体犯の認知件数の推移(平成26~30年)
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図表I-2 道路上における子供(13歳未満)が被害者となる身体犯の時間帯別発生件数(平成26~30年の合計)
図表I-2 道路上における子供(13歳未満)が被害者となる身体犯の時間帯別発生件数(平成26~30年の合計)
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(2)政府の取組

平成30年(2018年)5月、新潟市において下校途中の女子児童が殺害される事件が発生したことを受け、政府において、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議が開催されるとともに、同年6月、「登下校防犯プラン」(以下「プラン」という。)が取りまとめられ、関係省庁が連携して各種の取組を行うこととされた。

 
図表I-3 「登下校防犯プラン」の概要
図表I-3 「登下校防犯プラン」の概要

(3)警察の取組

① 地域における連携の強化

警察では、教育委員会、学校、放課後児童クラブ、放課後子供教室、自治体、保護者、PTA、地域のボランティア、自治会等の関係者が集まり、登下校時における防犯対策について意見交換等を行うことを目的として構築される「地域の連携の場」に参画し、子供の犯罪被害及びその前兆とみられる声掛け、つきまとい等の事案に関する発生状況や関係機関等が防犯対策を講じる上で参考となる具体的情報等について積極的に助言等を行っている。

② 通学路の合同点検の徹底及び環境の整備・改善

警察では、教育委員会・学校、子供・保護者、見守りに関わる地域住民、自治体、地方整備局、道路管理者、放課後児童クラブ関係者等と連携し、通学路の防犯の観点から合同点検を実施している。

合同点検により把握された危険箇所を踏まえて、警察官による警戒、パトロールの重点的な実施を図っているほか、スクールサポーターや防犯ボランティア等の関係団体による見守り活動が効果的に行われるよう、危険箇所への重点的な配置を助言するなどの取組を推進している。

CASE

新潟県警察では、行政機関、学校、地域住民等と連携し、小学校の通学路の緊急合同点検を実施した。同点検では、主として危険箇所の確認や子供110番の家の実態把握を行い、これらを踏まえ、見守り活動を推進するなど、環境面の改善にいかしている。

 
危険箇所の点検状況
危険箇所の点検状況
③ 不審者情報等の共有及び迅速な対応

警察では、従来、電子メール等により子供の犯罪被害や不審者に関する情報を提供・発信してきたが、プランを踏まえ、子供の見守り活動に直接役立つようなより粒度の高い情報、保護者等がとり得る防犯対策等、受信者側の具体的な対応に資するような効果的な情報について提供・発信している。

また、不審者情報等の情報共有が迅速かつ確実に行われるよう、警察署と学校の間で連絡担当者を決めて直接共有する体制を構築している。

④ 多様な担い手による見守りの活性化

警察では、見守り活動や青色回転灯装備車によるパトロールを行う防犯ボランティア等に対し、積極的に表彰を行い、関係者との交流の場を提供するほか、日常生活や事業活動を行いながら防犯の視点を持って子供の見守り活動を行う「ながら見守り」等を働き掛けるなど、各種取組を推進している。また、こうした防犯ボランティア等による活動の周知・情報発信を行っている。

CASE

富山県警察では、プランを踏まえ、「ながら見守り」を広く県民に周知する目的で「ながら見守り」啓発チラシ及び推進シールを作成し、キャンペーン等において配布しているほか、県内のトラック、バス、タクシー等の業者にステッカーを配布して車両への貼付を依頼するなどの取組を推進している。

 
「ながら見守り」啓発チラシ
「ながら見守り」啓発チラシ

CASE

静岡県警察では、地元企業と連携してランニングをしながら地域の防犯パトロールを行うランナーを募り、平成30年11月、約250人により「しずおかランニングパトロール」を開始した。ランナーは、3人以上のチームを組み、専用のTシャツを着用して、ランニングをしながら自主的な防犯パトロールに取り組んでいる。

 
「ながら見守り」の状況
「ながら見守り」の状況
⑤ 子供の危険回避に関する対策の促進

警察では、子供に危険を予測・回避する能力を身に付けさせるため、学校と連携し、危険な事案に遭遇した場合の初期的対応訓練を実施するなど、被害実態を踏まえた実践的な防犯教育を推進している。



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