第7章 警察活動の支え

警察活動の最前線

訪日外国人急増に対応した取組について


石川県警察金沢西警察署地域課企画指導係(現 石川県警察本部生活安全部地域課)

善田 将昭(ぜんた まさあき) 警部補

 
いぬわし君

当県では、北陸新幹線の金沢開業や金沢港へ寄港する大型クルーズ船の増便等により、県内を観光で訪れる外国人が増加しており、また、留学や技能実習を目的に居住する外国人の数も増加しています。

私は、警察署の地域総括係長として勤務しながら、ベトナム語の県警指定通訳官として活動していますが、近年ベトナム人の県内居住者数は増加の一途をたどっており、通訳の機会も増えています。

県警において、交流人口の拡大に伴う各種治安対策を推進している中、当署では、外国語の素養がある署員を中心に通訳チーム「金沢西ベイポリス」を結成し、外国人対象の防犯や交通安全の講習、署員に対する外国語教養等の活動をしています。

このチームの活動として、私は、ベトナム人技能実習生に対する講習を行っています。来日したばかりの彼らは私の話に熱心に耳を傾け、ときには大きく笑い、最後は「楽しい講習で警察官に対する印象が変わった。学んだことをしっかり守り、日本で頑張りたい」と活き活きとした笑顔で話します。これから始まる日本での生活を前に希望に満ちあふれた彼らの表情を見ると、私は大きな充実感を感じます。

訪日外国人は今後も増加が見込まれます。私は、これからも国籍を問わず、県内に滞在・居住するすべての人が安全安心を実感できるよう、全力でこの業務に取り組んでいきます。

 
石川県警察金沢西警察署地域課企画指導係(現 石川県警察本部生活安全部地域課)善田 将昭(ぜんた まさあき) 警部補

女性として、母親としての視点を強みに


長崎県警察本部警務部留置管理課護送係兼指導・管理係

中尾 飛鳥(なかお あすか) 巡査部長

 
キャッチくん

私は、一児の母として育児短時間勤務制度を利用し、周囲のサポートを受けながら、育児と仕事の両立を目指しています。

職場では、主に被留置者の護送業務を担当していますが、被留置者による自殺、逃走等の事故が発生すれば、事件の真相究明や国民の安全・安心の確保ができなくなるなど、その影響は計り知れません。私たち護送員は、これら重大事故の絶無のために、被留置者の精神状態、挙動等に細心の注意を払って業務に臨んでいます。

ある妊娠中の女性被留置者を護送中のことですが、突如、その女性が「頼る者もなく、今後子供を一人で育てていけるか不安です」と涙を流したことがありました。

私は、妊娠と出産を経験した母親として、妊娠中に留置されているその女性が極限状態にあることが、よく理解できました。だからこそ、掛ける言葉によっては、この女性を追い込み、自殺事故等を助長する可能性もあると思い、自らの経験を踏まえて「一人で抱え込まないことが大事だよ。体を大切にして食事と睡眠をしっかりとった方が良いよ」と声を掛けたのです。

この言葉でその女性は落ち着きを取り戻し、無事に護送は終了しました。

私は、自分の経験を仕事にいかせることを改めて実感したため、今後も、女性として、母親としての視点を持って相手の気持ちに寄り添いながら、適正な対応に努めていきたいと思います。

 
長崎県警察本部警務部留置管理課護送係兼指導・管理係 中尾 飛鳥(なかお あすか) 巡査部長

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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