第5章 安全かつ快適な交通の確保

3 様々な運転者へのきめ細かな対策

(1)運転者の危険性に応じた行政処分の実施

警察では、道路交通法違反を繰り返し犯す運転者や重大な交通事故を起こす運転者を道路交通の場から早期に排除することによって交通の安全を図るため、運転免許の行政処分を厳正かつ迅速に実施している。

また、近年、一般の運転者に危険を感じさせるような悪質・危険な運転行為(あおり運転)が社会問題化しており、妨害行為を繰り返しながら相手の車両を執拗に追い回すなど、運転行為が暴行と認められる場合及びあおり運転等に起因するトラブルが暴行、傷害等の事案に発展した場合について、積極的に行政処分を行うこととしている。

 
図表5-39 運転免許の行政処分件数の推移(平成26~30年)
図表5-39 運転免許の行政処分件数の推移(平成26~30年)
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(2)運転適性相談の充実等

警察では、加齢に伴う身体機能の低下等のため自動車等の安全な運転に不安のある高齢運転者やその家族、身体の障害や一定の症状を呈する病気等のため自動車等の安全な運転に支障のある者等からの相談を受け付けるため、運転適性相談窓口を設けている。

また、運転適性相談窓口に、看護師等の医療系専門職員をはじめとする専門知識の豊富な職員を配置する(注)とともに、適切な相談場所を確保するなどして、相談者のプライバシーの保護のために特段の配慮をしているほか、職員による町内会への訪問や警察署への巡回等によって相談を積極的に受け付けるなど、運転者等が相談しやすい環境の整備に努めている。

さらに、相談終了後も運転者等に連絡して継続的な対応を図ったり、患者団体や医師会等と密接に連携し、必要に応じて相談者に専門医を紹介したりするなど、運転適性相談の充実を図っている。

このほか、運転免許センターや警察署におけるポスターの掲示、都道府県警察のウェブサイトの活用等により、運転適性相談窓口の周知徹底を図っている。

注:平成31年4月現在、40都道府県で65人の医療系専門職員が配置されている。

 
運転適性相談の状況
運転適性相談の状況
 
図表5-40 運転適性相談の受理件数の推移(平成26~30年)
図表5-40 運転適性相談の受理件数の推移(平成26~30年)
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(3)国際化への対応

警察では、日本語を解さない外国人が運転免許を取得するなどし、安全に自動車等を運転することができるよう、外国語による学科試験の実施、更新時講習等における外国語版教本の活用等を推進している。

また、外国等の行政庁等の運転免許証を有する者については、一定の条件の下に運転免許試験の一部を免除できる制度(注)があり、平成30年中の同制度による運転免許証の交付件数は4万3,547件であった。

注:https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/have_DL_issed_another_country.html/

 
図表5-41 外国等の行政庁等の運転免許証を有する者に対する運転免許試験の一部免除の流れ
図表5-41 外国等の行政庁等の運転免許証を有する者に対する運転免許試験の一部免除の流れ

MEMO 外国人運転者に対する交通ルール等の周知

外国人運転者に対する交通ルール等の周知については、警察において外国人運転者に対する安全教育の充実を図っているほか、(公財)国際交通安全学会が作成した安全運転啓発動画を日本政府観光局等のホームページに掲載したり、(一社)全国レンタカー協会が作成したレンタカー利用ガイドに基本的な交通ルールの注意点を掲載したりするなど、関係機関・団体の協力を得ながら各種取組を推進している。

(4)運転免許手続等の利便性の向上と国民負担の軽減

警察では、運転免許証の更新に係る利便性の向上と国民の負担の軽減のため、更新免許証の即日交付、日曜日の申請受付、警察署における更新窓口の設置、申請書の写真添付の省略等の施策を推進している。

平成30年中は、全国で1,088か所の運転免許証の更新窓口において、1,733万54件の更新免許証を交付しており、このうち即日交付は1,393万4,210件であった。

また、障害者の利便性向上のため、試験場施設のバリアフリー化等の施設の整備・改善、漢字に振り仮名を付けた学科試験の実施、字幕入り安全教育DVDの活用、身体障害者用に改造された持込車両を用いた技能試験の実施等を推進するとともに、指定自動車教習所等に対し、障害者の教習体制の充実について指導している。

(5)運転者の特性に応じた運転者標識

運転者は、自動車を運転するときに、一定の条件に該当する場合は、それぞれの条件に応じて、車両の前面及び後面に初心運転者標識、高齢運転者標識(注)又は聴覚障害者標識を表示することが義務付けられているほか、表示義務がない場合であっても、身体の状態が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときなどは、高齢運転者標識又は身体障害者標識を表示するよう努めなければならないこととされている。これらの標識は、他の車両の運転者に注意を喚起するとともに、標識を表示した自動車を保護することなどによって交通事故防止を図るものであり、これらの標識を表示した自動車に対する幅寄せや割込みは禁止されている。

注:高齢運転者標識は、平成23年に様式が変更されたが、変更前の標識(「もみじマーク」)についても、当分の間、表示することができる。


初心運転者標識 高齢運転者標識 身体障害者標識 聴覚障害者標識
初心運転者標識  高齢運転者標識  身体障害者標識  聴覚障害者標識 


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