警察活動の最前線
オールジャパンで薬物汚染を防ぎます!
岡山県警察本部刑事部組織犯罪対策第一課薬物第二係
(現 岡山県警察本部刑事部組織犯罪対策第一課薬物銃器対策指導係)
石戸 康文(いしと やすふみ) 警部補

違法薬物の多くは、海を越えてやってきます。そして、全国各地へとばらまかれます。犯罪組織にしてみれば、都道府県警察の管轄や県境など関係ありません。私たちは治安のプロ、そして薬物犯罪捜査のプロとして、「日本を薬物汚染大国にしてなるものか」という信念の下、他の都道府県警察に加え、税関、海上保安庁、麻薬取締部等の関係機関と一致団結し、『オールジャパン』の精神で犯罪組織と戦っています。
私は今までに、数多くの薬物乱用者と接する中で、幻覚や幻聴による異常な言動を目の当たりにし、切ない思いをたくさんしてきました。数年前、ある薬物乱用者の女性を逮捕するべく、同行を求めたときのことです。事情を知らない娘が、女性に、「お母さん、明日の朝早いけど、お弁当よろしくね」と言葉を掛けました。女性は、娘の方を見ることなく、「分かった。明日早いんなら、今日は早く寝なさいよ」と言葉を返しました。女性の目には涙が浮かんでいました。
薬物は、乱用者の心も体も破壊し、間違いなく人を不幸にします。「被害者」となるのは乱用者自身であり、そして最愛の家族です。私は今後も、違法薬物の供給源を絶つことによって、不幸な人や家族をなくすことを目指し、オールジャパンの精神で薬物犯罪捜査に取り組んでいきます。

犯罪組織の壊滅に向けて
沖縄県警察本部刑事部組織犯罪対策課犯罪収益対策係
黒島 隆(くろしま たかし) 警部補

私は、長年盗犯事件の捜査に携わってきましたが、平成30年の春、初めて犯罪収益対策係に配属されました。それ以降、犯罪によって得られた収益を剥奪し、暴力団や暴力団とのつながりが疑われる犯罪組織を壊滅に追い込むために日々奮闘しています。
事件は、新米の犯罪収益対策担当刑事を待ってくれません。
犯罪収益の移転防止、マネー・ローンダリング・・・。慣れない用語を目にして不安に感じていた配属当初、犯罪組織が絡んだ「ヤミ金事犯」が発生し、関係先の捜索を行いました。その結果、差し押さえた押収品から犯罪収益金が第三者の口座に入金されていることを確認しました。
被疑者は、不法に得た収益を巧みに隠匿し、検挙を逃れようとしましたが、刑事としての長年の経験を生かしてあらゆる捜査を尽くし、犯罪収益金を発見して適切な没収保全の措置を講じることができました。
さらに、後日、この事件の背後に暗躍する指定暴力団の存在と犯罪収益金の一部がみかじめ料として上納されていたことが判明し、これに関わる暴力団員の逮捕につなげることができたのです。このとき私は、初めて臨んだ事件で犯罪収益金を発見し、没収保全の措置を講じることができただけでなく、事件の背後にある暴力団組織にまで捜査のメスを入れることができ、大きな達成感を得ることができました。
事件は、いつ、どこで、どのように発生するか予測できない中、「事件に正面から向き合うことで必ず解決に導くことができる」と信じ、今後も犯罪収益対策担当刑事として、犯罪組織の壊滅に向けて全力で取り組みます。

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。