第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

警察活動の最前線

警察署生活安全課の一日

市民生活の平穏と安全の確保を担う生活安全警察の業務について、最前線で勤務するA警察署生活安全課の職員らの一日を通じて描写する。

 
特別警戒発隊式

09:00 署長訓授

署長から、最近の管内情勢を踏まえた指示を受けた。

管内の治安情勢だけでも課題が山積している。署長を筆頭に署員一丸となって対策を講じなければならない。

 
署長訓授

10:00 許可等事務(許可事務係)

署に設置されている窓口において、猟銃の所持許可について相談を受けた。許可をするかどうかについては、法令の定めに従って判断することとなるため、その内容を正しく説明する必要がある。

事件捜査等の警察官の業務として一般的に想像されるものとは異なった印象かもしれないが、許可等事務も、市民の安全と安心を守る上で不可欠な業務である。

 
許可等事務(許可事務係)

11:00 行方不明者の発見活動(防犯係)

署において行方不明者届を受理した。

届出人によれば、行方不明者は認知症の疑いがあることから、過去に立ち回った地域や徘徊場所があるか、自ら名のることができるかなどを聴取し、立ち回りが予想される場所を中心に、地域課員や刑事課員等の協力を得ながら発見活動を行ったところ、自宅から遠方の路上において行方不明者を発見することができた。

行方不明事案は、行方不明者の生命又は身体に危険が生じるおそれがあることから、特に迅速かつ的確に対応しなければならない。生活安全課のみでは十分な発見活動を行うことが困難な場合も多く、他課や本部との連携が不可欠である。

 
行方不明者の発見活動

12:00 昼食

生活安全課の業務は非常に幅広いため、課員によって業務内容が大きく異なる。

昼食の時間は、お互いの業務の状況を共有できる良い機会となっている。

15:30 通学路の安全確保(少年係・防犯係)

管内において、不審者による通学路での子供に対する声掛け事案が発生したことから、学校及びPTAと情報共有を行った。また、声掛け事案の発生場所付近における警戒・パトロールを重点的に実施するとともに、地域の防犯ボランティア団体に対し、青色回転灯装備車による見守り活動を依頼した。子供が被害者となる犯罪は、地域住民に対して大きな不安を与えるものである。未然防止のためには、学校・教育委員会、PTA、地域のボランティア等との連携が必要である。

 
通学路の安全確保

16:00 少年による万引き事案(少年係)

管内の文具店店主から「万引きした小学生を確保した」との通報が入った。現場に急行し、関係者から事情を聴取した上で、保護者に連絡を取るとともに、署において少年から詳しい事情を聴取した。非行を繰り返させないよう反省を促しながらも、非行の原因を究明するために、少年からは丁寧に話を聞く必要がある。

少年本人は深く反省しており、少年の家庭環境に問題もないことから、聴取後、保護者と共に帰宅させた。

非行少年は、家庭、学校、交友等の周囲の環境や自身に問題を抱えていることが多い。児童相談所や学校等の関係機関・団体等の協力を得ながら、少年にとって最も適切な対応を考えていかなければならない。

17:45 退署

執務時間が終わったため、本日当直員に指定されている課員と20:00から月例の合同パトロールの予定がある防犯係の課員を除いて、退署する。

17:45 当直指示(当直員)

当直員として、他課の職員と共に夜間帯の勤務に当たる。昼夜を分かたず、市民の安全と安心を守るための重要な任務だ。

当直隊長からは、当直勤務に当たり、特に注意を要する点について指示があった。

 
当直指示(当直員)

20:00 歓楽街のパトロール(防犯係)

商店街、自治体、防犯ボランティア団体等と協力し、定期的な管内のパトロールを行った。

このパトロールは、悪質な客引きやスカウト行為等、路上で行われる迷惑行為や不当な料金の取立てを防止するだけでなく、歓楽街における犯罪組織、違法風俗店等の実態把握も兼ねている。

管内の実態把握も、良好な治安を守るための重要な要素の1つである。

 
歓楽街合同パトロール

翌日00:00 配偶者からの暴力事案の検挙(当直員)

「夫が暴れている」との110番通報が入った。刑事課員と共に現場に急行すると、男性が女性に対し、まさに殴りかかろうとしていた。女性は全身打撲の重傷を負っていたことから、早急に救急車を手配するとともに、男性を傷害容疑で現行犯逮捕した。

女性によれば、男性から日常的に暴力を受けていたようだ。男性の身柄を拘束している間に、女性を安全な場所へ速やかに避難させることを最優先しなければならない。男性の連行、弁解録取書等の書類作成を刑事課員と連携して行うとともに、女性の避難先を確保した。

今後も、配偶者暴力相談支援センターと連携しながら、被害者の女性のために、迅速・確実な対応を行っていく必要がある。

 
暴力事案の検挙

翌日01:30~仮眠(当直員)

先程の暴力事案の対応を終えて、休憩室で仮眠に入る。朝まで新たな事件等もなく、ゆっくりと寝ることができた。

翌日08:45 翌日の引継ぎ(当直員)

当直中の出来事について、翌日、関係課に責任をもって引き継ぎ、当直勤務の一日を終えた。

当直勤務中は深夜の対応が必要となることもあるが、署員で協力しながら地域の治安を守っている。非常にやりがいのある仕事だ。

翌日09:00 退署(当直員)

当直勤務を終えて、退署する。

休日で体をしっかりと休める。



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