第2節 公安委員会の活動
(1)国家公安委員会
① 組織
国家公安委員会は、国務大臣たる委員長及び5人の委員によって組織されている。委員は内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する。

② 活動
国家公安委員会では、国家公安委員会規則の制定、警察庁長官や地方警務官(注1)の任命、監察の指示、交通安全業務計画や防災業務計画の策定等、警察法やその他の法律に基づきその権限に属させられた事務を行うほか、警察庁が担う警察制度の企画立案や予算、国の公安に関する事案、警察官の教育、警察行政に関する調整等の事務について警察運営の大綱方針を示し、警察庁を管理している。
国家公安委員会は、通常、毎週1回定例会議を開催するものとしている。また、委員相互の意見交換や警察庁からの報告の聴取、都道府県公安委員会委員との意見交換や警察活動の現場の視察を行うことなどにより、治安情勢と警察運営の把握に努めている。このような活動の状況については、ウェブサイト(注2)で紹介している。
注1:都道府県警察の警視正以上の階級にある警察官

国家公安委員会の定例会議
CASE
平成31年(2019年)1月、国家公安委員会委員長は、警視庁・東日本災害警備訓練施設を視察し、警察庁指定広域技能指導官から説明を受けた。

警視庁・東日本災害警備訓練施設を視察する国家公安委員会委員長
(2)都道府県公安委員会
① 組織
都道府県公安委員会及び方面公安委員会は、都、道、府及び指定県では5人、それ以外の県及び北海道の各方面では3人の非常勤の委員によって組織されており、委員は都道府県知事が都道府県議会の同意を得て任命する。ただし、道、府及び指定県の場合は、委員のうち2人の任命は当該道、府及び県が包括する指定市の市長がその市議会の同意を得て推薦した者について行う。

② 活動
都道府県公安委員会は、運転免許、交通規制、犯罪被害者等給付金の裁定、古物営業等の各種営業の監督等、国民生活に関わりのある数多くの行政事務を処理するとともに、管内における事件、事故及び災害の発生状況等を踏まえた警察の取組、組織や人事管理の状況等について、定例会議の場等で、警察本部長等から報告を受け、これを指導することにより、都道府県警察を管理している。
都道府県公安委員会は、おおむね月3回ないし4回の定例会議を開催するほか、警察署協議会への参加、教育委員会等の関係機関との協議、警察活動の現場の視察等により、治安情勢と警察運営の把握に努めている。また、このような活動の状況について、ウェブサイトで紹介している。

広島県公安委員会のウェブサイト
CASE
平成30年8月、岡山県公安委員会委員は、平成30年7月豪雨の被災地を視察した。その際、浸水被害に遭った岡山県玉島警察署真備交番を訪れ、交番勤務員から当時の状況等の説明を受けた。

被災地を視察する岡山県公安委員会委員
(3)苦情処理及び監察の指示
警察法には苦情申出制度が設けられており、都道府県警察の職員の職務執行について苦情がある者は、都道府県公安委員会に対し文書により苦情の申出をすることができ、都道府県公安委員会は、原則として処理の結果を文書により申出者に通知している。平成30年中は、全国の都道府県公安委員会において901件の苦情を受理した。
なお、警察本部長や警察署長に対して申出があったものなど、都道府県警察の職員の職務執行についての苦情でこの制度によらない申出についても、処理の結果を申出者に通知するなどの対応を行っている。

また、警察法の規定により、国家公安委員会は警察庁に対して、都道府県公安委員会は都道府県警察に対して、監察について必要があると認めるときは、具体的又は個別的な監察の指示をすることができる。
(4)公安委員会相互間の連絡
国家公安委員会と各都道府県公安委員会は、相互に独立した機関であるが、その職務の性質から、常に緊密な連携を保つため、各種の連絡会議を開催している。平成30年中は、国家公安委員会と全国の都道府県公安委員会との連絡会議を2回開催し、「来日外国人対策の拡充」、「変容する社会と警察」等をテーマに意見交換を行った。
また、各管区及び北海道において、管内の府県公安委員会相互、道公安委員会と方面公安委員会相互の連絡会議が合計13回開催され、国家公安委員会委員も出席し、各道府県の治安情勢やそれぞれの取組についての報告や意見交換が行われた。さらに、都道府県公安委員会相互間の意見交換が行われるとともに、都、道、府及び指定県の公安委員会相互の連絡会議が開催された。

全国公安委員会連絡会議