トピックス

警察活動の最前線

傷ついた心に寄り添うこと


警視庁総務部企画課

犯罪被害者支援室被害者相談係

佐藤 清美(さとう きよみ) 副主査

 
ピーポくん
ピーポくん

私は、心理技術職員として、犯罪被害に遭われた方のカウンセリングを担当しています。接する方の多くは「魂の殺人」と呼ばれる性犯罪の被害女性で、中には、何が起きたのかさえ分からず、漠然とした不安を抱える幼い被害者もいます。

例えば、私がカウンセリングを担当した被害者の中で、自宅で被害に遭い、被害後もしばらくの間、共働きの御両親が帰宅するまで自宅で一人で過ごさなければならなかった児童がいました。そのような場合、私は、家庭訪問を行って被害児童の安全を守りながら、被害児童にとって自宅が再び安心できる場所となり、被害に遭う前の生活に戻れるようにカウンセリングを行うことがあるほか、被害児童の御家族を支え、お互いが直接話せない思いをそれぞれに伝えて、御家族のつなぎ役を果たせるようにしています。

また、日頃から捜査員に対しては、被害者に起きるトラウマ等の心身の反応や、被害者に真実を語ってもらうための接し方等について教示し、被害者の精神的負担の軽減を図りながら、被害者が捜査に協力していただけるよう、被害者支援と捜査の連携に努めています。

警察は、犯罪被害者が最初に関わる公的機関であることから、自ら民間の相談室や病院を訪れることができない被害者が、傷ついた心を回復し、被害を乗り越えて一歩前に踏み出す一助となれる可能性を持っていると考えています。

私は、これからも傷ついた被害者の心に寄り添って、被害者が人への信頼感を取り戻し、再び自分の力で生活できるよう、支援を続けていきたいと思います。

 
警視庁総務部企画課犯罪被害者支援室被害者相談係 佐藤 清美(さとう きよみ) 副主査

トマト農家による大麻栽培事件


静岡県警察本部刑事部組織犯罪対策局

薬物銃器対策課密輸対策銃器情報係

森 達也(もり たつや) 警部補

 
エスピーくん
エスピーくん

平成29年のある日、私は、「トマト農家が浜松市庄内地区のビニールハウスで大麻を栽培し、ヤクザに頼んで密売先を探している。乾燥大麻のストックは10キログラム以上ある」との情報を入手しました。

情報のみでは、農家や栽培場所を特定できず、該当するビニールハウスを探すことから捜査を開始しましたが、浜松市庄内地区は旧来からの農村地帯で、地区内にビニールハウスは数百棟も存在しました。

無造作にビニールハウスをのぞけば、野菜泥棒と疑われてしまうおそれがあるため、犬を連れて散歩をしながらビニールハウスを1棟ずつ地道に確認したほか、ヘリコプターによる上空からの視察や地道な情報収集活動等により、大麻の栽培場所を絞り込んでいきました。

その結果、地区内で10棟並んだビニールハウスのうちの1棟で大麻が栽培されていることをついに突き止め、被疑者2名を割り出しました。

その後の一斉捜索により、ビニールハウス内から全長2メートルに及ぶ収穫間近の大麻草約100本と、被疑者の自宅から「バッズ」と呼ばれる幻覚作用の強い乾燥大麻約13キログラムを押収し、大麻の拡散を防止することができました。

私は、薬物銃器捜査に30年近く従事し、真の薬物対策は「供給源や密売組織の検挙」であるとの信念があります。今後もこの信念の下、日々業務に励んでいきます。

 
静岡県警察本部刑事部組織犯罪対策局薬物銃器対策課密輸対策銃器情報係 森 達也(もり たつや) 警部補

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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