第5章 安全かつ快適な交通の確保

3 総合的な駐車対策

(1)違法駐車の状況

違法駐車は、交通渋滞を悪化させる要因となるほか、歩行者や車両の安全な通行の妨げとなったり、緊急自動車の活動に支障を及ぼしたりするなど、地域住民の生活環境を害し、国民生活全般に大きな影響を及ぼしている。

また、違法駐車は、交通事故の原因ともなっており、平成29年中には、駐車車両への衝突事故が892件発生し、37人が死亡した。さらに、110番通報された苦情・要望・相談のうち、駐車問題に関するものが12.7%を占めており、国民の関心も高い。

(2)駐車対策の推進

警察では、必要やむを得ない駐車需要への対応が十分でない場所を中心に、地方公共団体や道路管理者に対し、路外駐車場や荷さばきスペースの整備等を働き掛けるハード的手法及びきめ細かな駐車規制、違法駐車の取締り、積極的な広報啓発活動等のソフト的手法が一体となった、総合的な駐車対策を推進している。

① きめ細かな駐車規制

地域住民の意見・要望等を十分に踏まえつつ、駐車規制の点検・見直しを実施するとともに、物流の必要性や自動二輪車の駐車需要等にも配慮し、地域の交通実態等に応じた規制の緩和を行うなど、きめ細かな駐車規制を推進している。

 
物流に配慮した交通規制
物流に配慮した交通規制
② 違法駐車の取締り

違法駐車の取締りについては、地域住民の意見・要望等を踏まえてガイドラインを策定・公表し、悪質性・危険性・迷惑性の高いものに重点を置いて実施している。当該ガイドラインについては、定期的に見直しを行い、常に警察署管内における駐車実態を反映したものとなるよう努めている。また、放置車両(注1)の確認事務(注2)については、警察署長から委託を受けた法人の駐車監視員や警察官等により適正に運用されている。

注1:違法駐車と認められる車両であって、その運転者がこれを離れて直ちに運転することができない状態にあるもの

注2:放置車両の確認と放置駐車確認標章の取付けに関する事務

 
図表5-45 確認事務の民間委託の状況の推移(平成25~29年)
図表5-45 確認事務の民間委託の状況の推移(平成25~29年)
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図表5-46 放置車両確認標章の取付け状況の推移(平成25~29年)
図表5-46 放置車両確認標章の取付け状況の推移(平成25~29年)
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駐車監視員の活動状況
駐車監視員の活動状況
③ 保管場所の確保対策

道路が自動車の保管場所として使用されることを防止するため、自動車の保管場所の確保等に関する法律に基づき、保管場所証明書の交付、軽自動車の保管場所に係る届出受理等を行うとともに、いわゆる青空駐車(注1)や車庫とばし(注2)の取締りを行っている。

注1:道路を自動車の保管場所として使用する行為

注2:自動車の使用の本拠の位置や保管場所の位置を偽って保管場所証明を受ける行為



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