第4章 組織犯罪対策

2 マネー・ローンダリング関連事犯の検挙状況

マネー・ローンダリングとは、一般に犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法において、マネー・ローンダリングが罪として規定されている。

マネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、図表4-22のとおりであり、平成29年中は361件(前年比27件(7.0%)減少)であった。前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては窃盗に係るものが136件、詐欺に係るものが103件、電子計算機使用詐欺に係るものが24件、ヤミ金融事犯に係るものが22件となっている。

29年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは50件で、全体の13.9%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが19件、窃盗に係るものが8件、賭博に係るものが4件となっているが、その他にも売春防止法違反や恐喝等に係るものなどがあり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリングを行っている実態がうかがわれる。

また、29年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は27件であった。

注:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリングの対象となるもの

 
図表4-22 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成20〜29年)
図表4-22 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成20〜29年)
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CASE

会社員の男(33)らは、28年1月、他人名義のクレジットカードを使用して不正に購入した合計約190万円分の仮想通貨の一部を日本円に換金し、同男らが管理する他人名義の口座に振り込むなどして隠匿した。29年1月、同男ら3人を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)等で検挙した(警視庁)。



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