2 マネー・ローンダリング関連事犯の検挙状況
マネー・ローンダリングとは、一般に犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法において、マネー・ローンダリングが罪として規定されている。
マネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、図表4-22のとおりであり、平成28年中は388件(前年比1件(0.3%)減少)であった。前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては窃盗に係るものが156件、詐欺に係るものが103件、ヤミ金融事犯に係るものが30件、賭博に係るものが16件、わいせつ物頒布等に係るものが13件となっている。
28年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは76件で、全体の19.6%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが22件、窃盗に係るものが15件、ヤミ金融事犯に係るものが11件、賭博に係るものが7件、売春防止法違反に係るものが5件となっているが、その他にも風営適正化法違反やわいせつ物頒布等に係るものなどがあり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリングを行っている実態がうかがわれる。
また、28年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は35件であった。

事例
ウェブサイト上でわいせつDVDを販売していた東組傘下組織幹部の男(54)らは、28年5月、複数の顧客に対し、わいせつDVDの販売代金合計約230万円を同男らが管理する複数の他人名義の口座に振り込ませて隠匿した。同年6月、同男ら4人を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)等で逮捕した。
また、わいせつDVDの販売代金であり犯罪収益である現金及び同代金を振り込ませていた他人名義の口座に滞留する犯罪収益である貯金債権合計約230万円に対して、同法の規定に基づく起訴前の没収保全命令が発出された(滋賀、北海道)。