第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

2 事件・事故への即応

交番、駐在所等の警察官は、事件、事故等が発生した際、直ちに現場に向かい、被疑者の逮捕等の措置をとっている。警察では、警察官が迅速に現場に駆けつけられるよう、110番通報の受理や警察署等への指令を行うシステムを整備するとともに、パトカー等の活用による機動力の強化に努めている。

(1)110番通報

平成28年中の110番通報受理件数(注)は、約909万件と前年より約14万件減少した。これは約3.5秒に1回、国民約14人に1人の割合で通報したことになる。また、携帯電話等の移動電話からの110番通報が71.5%を占め、過去最高を記録した。

警察では、110番通報の適切な利用の促進のため、事件・事故等の緊急の対応を必要とする場合にはためらわずに110番通報を利用する一方、緊急の対応を必要としない相談等の通報については「♯9110」番や各種相談電話を利用するよう呼び掛けている。

注:無応答、いたずら、かけ間違い等は計上していない。
 
図表2-78 110番通報受理件数の推移(平成19~28年)
図表2-78 110番通報受理件数の推移(平成19~28年)
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(2)通信指令

① 通信指令システム

110番通報に迅速かつ的確に対応するため、都道府県警察には通信指令室が設けられている。110番通報を受理した通信指令室では、直ちに通報内容を警察署等に伝え、地域警察官を現場に急行させるとともに、必要に応じて緊急配備(注1)の発令等を行っている。平成28年中の緊急配備の実施件数は、前年と比べ46件(0.7%)増加し、6,982件となった。

また、28年中に警察本部の通信指令室で直接受理した110番通報に対するリスポンス・タイム(注2)の平均は、7分5秒であった。

警察では、増加する携帯電話等からの110番通報に的確に対応するため、携帯電話等で110番通報した際に、音声通話と同時に発信者の位置情報が通知されるシステム(位置情報通知システム)を全都道府県警察において運用するなど通信指令システムの高度化を図っている。

注1:重要事件等が発生した際に、迅速に被疑者を検挙するため、警戒員を配置して行う検問、張り込み等
注2:通信指令室が110番通報を受理し、パトカーに指令してから警察官が現場に到着するまでの所要時間
② 携帯型端末を活用した初動警察活動

警察では、音声通話機能及びデータ通信機能を有する携帯型端末を整備し、各都道府県警察において運用している。

同端末の活用により、通信指令室で受理した110番通報の内容、各種事案の現場で撮影した画像、GPSで測位された警察官の位置情報等の情報を、通信指令室、警察署及び現場の警察官が組織的に共有し、的確な初動警察活動に当たっている。

 
図表2-79 携帯型端末の概要(代表例)
図表2-79 携帯型端末の概要(代表例)
③ 外国語による110番通報への対応

警察では、日本語を解さない者からの110番通報への適切な対応が図られるよう、外国語に通じた警察官を通信指令室に配置するほか、通訳センター等の警察職員を含めた三者通話を行うなどして対応している。

(3)初動警察活動の強化

① 通信指令を担う人材の育成強化

警察では、110番通報の受理、指令及び無線報告の技能を競う全国通信指令・無線通話技能競技会を開催するなど、通信指令技能の向上を目的とした教育訓練を行うとともに、通信指令の知識・技能に関する検定制度を設け、組織的な人材育成に努めている。

また、卓越した通信指令の技能を有する者として選抜された、警察庁指定広域技能指導官や都道府県警察の技能指導官等が、実践的な指導等を通じて後進の育成に当たっている。

② 実践的な訓練の実施

警察では、事案対応能力の更なる強化を図るため、無差別殺傷事件その他の重大事案の発生を想定した実践的かつ効果的な訓練を継続的に実施している。

(4)鉄道警察隊の活動

鉄道警察隊は、鉄道事業者等と連携し、列車内における警乗(注)、駅等の鉄道施設及びその周辺のパトロールや警戒警備を実施している。また、痴漢の被害者から相談を受理した場合は、被害者に同行して身辺の警戒を行うなどしている。

注:列車内における公安の維持を図るため、警察官が列車に乗務して、列車内における犯罪の予防、被疑者の検挙、事故の防止等に当たること。
 
図表2-80 痴漢事犯の検挙状況等の推移(平成24~28年)
図表2-80 痴漢事犯の検挙状況等の推移(平成24~28年)
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(5)パトカー及び警察用船舶の活用

警察では、全国の警察本部や警察署に配備したパトカーを活用して、管内のパトロールを行うとともに、事件・事故等の発生時における初動措置をとっている。また、全国に配備した警察用船舶を活用し、通信指令室やパトカーと連携の上、事件・事故発生時の情報の収集、救助活動等を行っている。

 
警察用船舶
警察用船舶

事例

平成28年8月、花火見物をしていたプレジャーボートが防波堤に接触して沈没した事故が発生したことから、花火大会の警備を行っていた警察用船舶を現場に急行させ、付近にいた民間船舶と協力して、プレジャーボートの全乗員12人を救助し、桟橋で待機中の救急隊に引き継いだ(兵庫)。

(6)警察用航空機の活用

警察では、ヘリコプターテレビシステム(ヘリテレ)やホイスト救助装置(注)等の各種資器材が装備された警察用航空機(ヘリコプター)を全国に配備しており、通信指令室やパトカーと連携し、その機動力をいかしたパトロール、被疑者の追跡、災害や重大事件発生時におけるヘリテレを活用した情報収集、被災者の救助、被災地への人員物資の緊急輸送等を行っている。

注:航空機の機外に装着した電動装置を用いて、ワイヤーで人や物を昇降させるための装置
 
警察用航空機
警察用航空機

事例

平成28年6月、走行中の盗難自動車を発見したことから、パトカーと共にヘリコプターで追跡を開始したところ、同自動車は、歩道走行や信号無視等の危険な運転を繰り返しながら逃走した。ヘリコプターが、ヘリテレを活用して同自動車の走行状況を通信指令室に逐次報告するとともに、パトカー及び捜査員を的確に誘導したことにより、運転手の男(21)らを逮捕した(愛知)。

コラム 山岳遭難に対する警察活動

平成28年中の山岳遭難の発生件数は2,495件、遭難者数は2,929人(うち死者・行方不明者は319人)であった。

28年から8月11日が「山の日」として国民の祝日になるなど、登山に対する国民の関心が高まる一方で、近年は、日本アルプス等の山岳地帯だけでなく、里山等の低山における山菜採りによる遭難やスキー場の管理区域外におけるいわゆるバックカントリースキーによる遭難等、様々な場所で山岳遭難が発生している。

警察では、関係機関・団体等と連携の上、ヘリコプター等を活用して遭難者の捜索救助に当たるとともに、増加傾向にある山岳遭難の防止を図るため、山岳パトロール、広報啓発活動等を実施している。

 
図表2-81 山岳遭難発生件数の推移(平成24~28年)
図表2-81 山岳遭難発生件数の推移(平成24~28年)
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山岳における訓練状況
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