第5章 安全かつ快適な交通の確保

第2節 交通安全意識の醸成

1 交通安全教育と交通安全活動

平成28年3月、中央交通安全対策会議(注)において、28年度から32年度までを計画期間とする「第10次交通安全基本計画」が策定された。同計画では、32年までに24時間死者数を2,500人以下に、死傷者数を50万人以下にするという目標を掲げており、警察では、各種交通事故防止対策を一層推進していくこととしている。

注:交通安全対策基本法により、内閣府に置かれ、内閣総理大臣を会長とし、関係する大臣等を委員とする会議

(1)交通安全教育

① 交通安全教育指針

国家公安委員会は、地方公共団体、民間団体等が効果的かつ適切に交通安全教育を行うことができるようにするとともに、都道府県公安委員会が行う交通安全教育の基準とするため、交通安全教育指針を作成し、公表している。

警察では、関係機関・団体等と協力し、この指針を基準として、教育を受ける者の年齢、心身の発達段階や通行の態様に応じた体系的な交通安全教育を実施している。

② 事業所等における交通安全教育

一定台数以上の自動車を使用する事業者等では、道路交通法の規定に基づき選任された安全運転管理者により、指針に従って適切に交通安全教育を実施することが義務付けられており、警察では、安全運転管理者等を対象とした講習を行うなど必要な指導を行っている。

(2)交通安全活動

① 全国交通安全運動

広く国民に交通安全思想の普及と浸透を図るとともに、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けることにより、交通事故防止の徹底を図るため、全国交通安全運動を毎年春と秋の2回実施している。

② シートベルトの着用及びチャイルドシートの使用の徹底

平成27年に実施された全国調査(注)では、後部座席同乗者のシートベルト着用率は、一般道路で35.1%、高速道路で71.3%にとどまり、チャイルドシートの使用率も62.7%にとどまった。警察では、関係機関・団体等と連携し、衝突実験映像等を用いたシートベルトの着用効果を実感できる参加・体験・実践型の交通安全教育を行うほか、幼稚園・保育所等において保護者に対するチャイルドシートの正しい取付方法の指導をすることなどにより、これらの適正な着用・使用の徹底を図っている。また、28年1月に長野県で発生し、多数の死傷者を出した大型貸切バス転落事故を契機として、貸切バス等の乗客にもシートベルトの着用の徹底を図るため、国土交通省やバス事業者等と連携したシートベルトの着用効果等に関する広報啓発活動を強化している。

注:警察庁と一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の合同調査で、シートベルト着用状況については27年10月に、チャイルドシート使用状況については同年5月から6月にかけて、それぞれ実施されたもの
 
シートベルト・チャイルドシートに関する政府広報
シートベルト・チャイルドシートに関する政府広報
③ 反射材用品等の普及促進

薄暮時・夜間における歩行者及び自転車利用者の交通事故防止に効果が高い反射材用品等の普及を図るため、広報啓発活動のほか、参加・体験・実践型の交通安全教育により、視認効果、使用方法等について理解を深めたり、関係機関・団体と協力して反射材用品等の展示会を開催したりするなどしている。



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