第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

5 良好な生活環境の保持

(1)風俗営業等の状況

① 風俗営業の状況

警察では、風営適正化法(注)に基づき、風俗営業等に対して必要な規制を加えるとともに、風俗営業者等の自主的な健全化のための活動を支援し、業務の適正化を図っている。

注:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
 
図表2-34 風俗営業の営業所数の推移(平成23~27年)
図表2-34 風俗営業の営業所数の推移(平成23~27年)
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② 性風俗関連特殊営業の状況

性風俗関連特殊営業の状況についてみると、近年、無店舗型性風俗特殊営業や映像送信型性風俗特殊営業の届出数が増加している一方で、店舗型性風俗特殊営業及び電話異性紹介営業の届出数は減少している。

 
図表2-35 性風俗関連特殊営業の届出数の推移(平成23~27年)
図表2-35 性風俗関連特殊営業の届出数の推移(平成23~27年)
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③ 深夜酒類提供飲食店営業の状況

深夜酒類提供飲食店の営業所数は、近年増加傾向にある。

 
図表2-36 深夜酒類提供飲食店の営業所数の推移(平成23~27年)
図表2-36 深夜酒類提供飲食店の営業所数の推移(平成23~27年)
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コラム ダンス営業に係る規制の見直しのための風営適正化法の改正

近年、国民の生活様式の多様化が進み、ナイトライフの充実を求める国民の声が高まっていることや、ダンスに対する国民の意識が変化してきたことなどを受け、

○ ダンス自体に着目した規制を改め、客にダンスをさせる営業の一部を風俗営業から除外する

○ 特定遊興飲食店営業の制度を新設し、深夜に客に遊興と飲酒をさせる営業を許可制の下で認める

ことなどを内容とする風営適正化法の一部を改正する法律が、平成27年6月、第189回国会で成立し、28年6月23日までに全面施行された。

 
ダンス営業に係る規制の見直しの概要
ダンス営業に係る規制の見直しの概要

(2)売春事犯及び風俗関係事犯の現状

① 売春事犯

平成27年中の売春事犯の総検挙人員に占める暴力団構成員等(注)の割合は19.3%(104人)と、依然として売春事犯が暴力団の資金源になっていることがうかがわれる。

最近では、インターネットの出会い系サイト等を利用する事犯のほか、マッサージ店やエステ店を仮装した違法性風俗店における事犯など、潜在化傾向がみられる。

注:138頁参照
 
図表2-37 売春防止法違反の検挙状況の推移(平成23~27年)
図表2-37 売春防止法違反の検挙状況の推移(平成23~27年)
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事例

無職の男(21)らは、26年4月から6月までの間、複数の女性をマンションの一室に居住させ、レンタルルーム等において、出会い系サイトを通じて募った客を相手に売春をさせた。27年5月までに、同男らを売春防止法違反(売春をさせる業)で、同レンタルルームを経営する会社経営の男(51)らを風営適正化法違反(禁止区域営業)で逮捕した(大阪)。

② 風俗関係事犯

風営適正化法による検挙状況は、近年減少傾向にある。

また、わいせつ事犯の検挙状況は、最近3年間減少している。わいせつ事犯に関しては、近年、コンピュータ・ネットワークを利用してわいせつな画像を公然と陳列する事犯やわいせつな画像情報が記録されたDVD等を販売する事犯が多くみられる。

このほか、賭博事犯に関しては、テレビゲーム機等の遊技機を使用したものが多く発生しており、最近では、警察からの取締りを逃れるため、雑居ビルやマンションの一室にスロットマシン、バカラ台等を設置するなど、潜在化の傾向がみられるほか、ゲーム喫茶等における事犯も依然としてみられる。

 
図表2-38 風営適正化法違反の検挙状況の推移(平成23~27年)
図表2-38 風営適正化法違反の検挙状況の推移(平成23~27年)
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図表2-39 わいせつ事犯の検挙状況の推移(平成23~27年)
図表2-39 わいせつ事犯の検挙状況の推移(平成23~27年)
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ゲーム喫茶店内
ゲーム喫茶店内
 
テレビゲーム機
テレビゲーム機

事例

無職の男(41)らは、25年9月から26年9月にかけて、レンタル携帯電話や他人名義の預金口座を利用するとともに、第三者に仲介させた上で、複製したわいせつDVDを不特定多数の者に販売した。また、会社役員の男(36)は、25年3月から26年4月にかけて、携帯電話不正利用防止法によって義務付けられた本人確認をしないまま同無職の男らにレンタル携帯電話を貸し出した。27年1月までに、同無職の男らをわいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持罪で、同会社役員の男を同法違反(貸与時本人確認義務違反)で逮捕した(島根)。

(3)人身取引事犯対策

警察では、平成26年12月に政府が策定した「人身取引対策行動計画2014」等に基づき、入国管理局等の関係機関と連携し、水際での取締りや悪質な経営者、仲介業者等の取締りを強化し、被害者の早期保護及び国内外の人身取引の実態解明を図っている。また、関係国の大使館、被害者を支援する民間団体等と緊密な情報交換を行っている。

27年中の人身取引事犯の検挙人員は42人で、そのうち風俗店等関係者が32人、仲介業者が7人であった。また、警察で保護した人身取引事犯の被害者は49人で、その国籍の内訳は、フィリピン(28人)、日本(13人)、タイ(8人)であった。外国人被害者の入国時の在留資格は、短期滞在(32人)が多数を占めた。

 
図表2-40 人身取引事犯の検挙状況の推移(平成23~27年)
図表2-40 人身取引事犯の検挙状況の推移(平成23~27年)
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図表2-41 人身取引事犯の被害者の保護状況の推移(平成23~27年)
図表2-41 人身取引事犯の被害者の保護状況の推移(平成23~27年)
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(4)銃砲刀剣類の適正管理と危険物対策

① 銃砲刀剣類の適正管理

平成27年末現在、銃刀法(注)に基づき、都道府県公安委員会から9万8,638人が、19万9,494丁の猟銃及び空気銃の所持許可を受けている。27年中、申請を不許可等とした件数は38件、所持許可を取り消した件数は62件であった。また、猟銃等の事故及び盗難を防止するため、毎年一斉検査を行うとともに、講習会等を通じて適正な取扱いや保管管理の徹底について指導を行う一方、危害予防上支障のない範囲で猟銃等の所持許可に伴う申請者の負担軽減を図るための措置を講じている。

警察では、銃刀法を厳正に運用し、銃砲刀剣類の所持許可の審査と行政処分を的確に行って不適格者の排除に努めるなど、銃砲刀剣類による事件・事故の未然防止に努めている。

注:銃砲刀剣類所持等取締法
 
図表2-42 猟銃及び空気銃の許可所持者の推移(平成23~27年)
図表2-42 猟銃及び空気銃の許可所持者の推移(平成23~27年)
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図表2-43 猟銃及び空気銃の許可丁数の推移(平成23~27年)
図表2-43 猟銃及び空気銃の許可丁数の推移(平成23~27年)
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図表2-44 猟銃等所持不適格者の排除状況の推移(平成23~27年)
図表2-44 猟銃等所持不適格者の排除状況の推移(平成23~27年)
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② 危険物対策

火薬類、特定病原体等、放射性物質等の危険物の運搬に当たっては、火薬類取締法、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の規定に基づき、都道府県公安委員会にその旨を届け出ることとされている。

警察では、これらの危険物が安全に運搬されるよう、関係事業者に対して事前指導や指示等を行うとともに、これらの危険物の取扱場所への立入検査等により、その盗難、不正流出等の防止に努めている。

 
図表2-45 運搬届出・立入検査の状況(平成27年)
図表2-45 運搬届出・立入検査の状況(平成27年)
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(5)環境事犯対策

① 廃棄物事犯(注)

平成27年中の廃棄物事犯の検挙事件数の約半数を、廃棄物の不法投棄事犯が占めている。

警察では、引き続き環境行政部局との人的な交流や情報交換を行うなどし、早期発見・早期検挙に努めている。

注:廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反に係る事犯
 
図表2-46 廃棄物事犯の検挙状況の推移(平成18~27年)
図表2-46 廃棄物事犯の検挙状況の推移(平成18~27年)
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② 動物・鳥獣関係事犯(注)

27年中の検挙事件の大半を、違法に捕獲等した鳥獣を飼養するなどの鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律違反が占めている。また、犬、猫を殺傷するなどの、動物の愛護及び管理に関する法律違反も引き続き検挙されている。

注:動物の愛護及び管理に関する法律違反及び鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律違反等に係る事犯
 
図表2-47 動物・鳥獣関係事犯の検挙状況の推移(平成18~27年)
図表2-47 動物・鳥獣関係事犯の検挙状況の推移(平成18~27年)
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(6)探偵業の状況

平成27年中の探偵業法(注1)での検挙件数は5件、行政処分件数は43件(営業廃止命令2件、営業停止6件、指示処分35件)であった。警察では、探偵業法に基づき、探偵業者(注2)の業務実態を把握し、違法行為に対しては厳正に対処するとともに、業界の全国組織である一般社団法人日本調査業協会や認可法人全国調査業協同組合等との連携の下、研修会等を通じて、探偵業務の運営の適正化を図っている。

注1:探偵業の業務の適正化に関する法律
注2:届出のなされている探偵業者数は5,667(平成27年末現在)


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