第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

4 国民の健康を害する事犯への対策

(1)保健衛生事犯対策

保健衛生事犯(注1)の検挙状況の推移は、図表2-37のとおりである。

警察では、厚生労働大臣の承認を得ていない医薬品(以下「無承認医薬品」という。)を広告・販売するなどの医薬品医療機器法違反、無資格で医行為や美容施術を行うなどの医師法違反等の、国民の健康被害に直結する保健衛生事犯の取締りを行っている。

無承認医薬品の広告・販売事犯については、近年、国外を仕出地とするものが全体の半数前後を占めている上、インターネットを利用して広告・販売を行っているものも多く、警察では、外国捜査機関等に対し情報を提供し、ウェブサイトの削除を要請するなどしている。また、警察では、無免許業者によるアートメイク(注2)やまつ毛エクステンション(注3)等の健康被害のおそれがある事犯についても、取締りを推進している。

注1:薬事関係事犯(医薬品医療機器法違反、薬剤師法違反等)、医事関係事犯(医師法違反、歯科医師法違反等)及び公衆衛生関係事犯(食品衛生法違反、狂犬病予防法違反等)
注2:人の皮膚に針を用いて色素を注入することにより、化粧をしなくても眉・唇等の色合いを美しく見せようとする施術
注3:人工毛を専用の接着剤でまつ毛に付け、まつ毛を長くしたり、濃くしたりするなど、ボリュームアップする施術
 
図表2-37 保健衛生事犯の検挙状況の推移(平成22~26年)
図表2-37 保健衛生事犯の検挙状況の推移(平成22~26年)
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事例

美容エステ店の経営者(46)らは、平成5年頃から、医師免許又は美容師免許を受けず、業として、アートメイクやまつ毛エクステンションを行っていた。26年5月、同経営者ら2法人、13人を医師法違反(無資格医業)又は美容師法違反(無免許営業等)で検挙した(京都)。

(2)食の安全に係る事犯対策

食の安全に係る事犯(注)の検挙状況の推移は図表2-38のとおりであり、平成26年中は、中国産米を混入させた精米を国産米100%であるかのように表記して販売するなど、原産地を偽装した事犯等の検挙がみられた。

注:食品衛生関係事犯(食品衛生法違反等)及び食品の産地等偽装表示事犯(不正競争防止法違反等)
 
図表2-38 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成17~26年)
図表2-38 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成17~26年)
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