警察活動の最前線

救助活動を経験して

前 警視庁特科車両隊第二中隊長(現 警察庁警備局警備課)

向井 祐輔(むかいゆうすけ) 警部

警視庁ピーポくん

警視庁ピーポくん

平成23年3月11日午後6時、警視庁特科車両隊の約100名は、隊長指揮のもと、広域緊急援助隊の第一陣として仙台市を目指しました。翌日早朝、若林区荒浜地区に到着すると、そこには今まで見たこともない光景が広がっていました。根本から水平に折れ曲がり、鉄筋だけになった電柱。コンクリートの土台さえも破壊された家屋等…。

「助けを待っている人が必ずいる。」私はそれだけを思い救助活動を始めました。隊員も声にこそ出しませんでしたが、その表情から同じ思いだということが伝わってきました。しかし、がれきや深みに何度も行く手を阻まれ、余震の度に避難を余儀なくされるなど、救助活動は困難を極めました。

救助活動は時間との闘いですが、焦って見落としがあるようなことは絶対に許されません。そんなプレッシャーの中、背丈を超え延々と続くがれきを乗り越え、二日間家屋に取り残された男性を救助した時は、我々に与えられた任務の重要性や使命感を感じることが出来ました。また、厳しい現場での救助活動を完遂出来たのは、日頃から部隊活動を通じて連帯感や絆(きずな)を養っている機動隊員ならではだったからだと思います。今後も、厳しい訓練の中で仲間と団結し、職務に励みます。

向井祐輔 警部

警察活動に必要な通信を確保するために

中部管区警察局福井県情報通信部機動通信課

森下 裕司(もりしたゆうじ) 技官

警察庁

「緊急地震速報発令中、捜索活動中の隊員は高台に避難せよ」緊迫した無線が流れます。電気通信事業者の通信が途絶する中、我々の頼みの綱は警察無線だけでした。

私は、震災発生日から広域緊急援助隊に帯同し、宮城県石巻市において、部隊拠点から遠く離れた場所でも隊員間で連絡を取り合い、捜索活動等を円滑に行うことができるよう、応急的に通信エリア拡大のためのアンテナや通信機器を設置するなどして、警察活動に必要な通信を確保しました。

警察活動を行う上で情報の的確な伝達は必要不可欠であり、正に警察情報通信は「警察活動の生命線」です。そのため私たちは、どのような状況下でも現場の警察活動に必要な通信を確保し、途絶させないように維持しなければなりません。元々、無線通信に興味があり飛び込んだ世界ですが、このように重要な使命を担っていることに一層やりがいを感じ、日々の業務に誇りを持って取り組んでいます。

森下裕司 技官


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