第4章 公安の維持と災害対策 

6 大衆運動の動向

(1)平和運動

 在日米軍再編をめぐり、沖縄県を中心に関係する都道県で反基地運動が展開された。日米両国による最終報告の合意を前にした平成18年3月5日、労働組合、大衆団体等は、沖縄県宜野湾市内において、米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設に反対する抗議集会を行った(主催者発表約3万5,000人)。
 また、憲法改正手続を定める国民投票法案や教育基本法改正案等をめぐり、労働組合、大衆団体等は、「「戦争する国家」づくり」等ととらえ、5月27日、代々木公園に約5万人(主催者発表)を、11月12日、日比谷野外大音楽堂に約8,000人(主催者発表)を集め、抗議集会やデモを行った。
 
 キャンプ・シュワブ沿岸部移設に反対する抗議集会(共同)
キャンプ・シュワブ沿岸部移設に反対する抗議集会(共同)

(2)反原発運動

 原子力発電所の使用済み核燃料からウランとプルトニウムとの混合酸化物(MOX)等を取り出す試運転が、平成18年3月31日、日本原燃株式会社の再処理工場(青森県六ヶ所村)で開始された。これに対し、同日、再処理工場の試運転に反対する反原発団体が、同工場正門前で抗議集会を開催した。また、玄海原発(佐賀県玄海町)及び伊方原発(愛媛県伊方町)におけるプルサーマル計画(注)を関係地方公共団体が受け入れたことに対し、反原発団体は、9月17日に佐賀県唐津市において、10月22日に愛媛県伊方町において、それぞれ反対集会を開催した。

注:原子力発電所から出る使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、ウランとの混合酸化物(MOX)燃料に加工して、再び通常の原子力発電所で利用する計画

 
 再処理工場の試運転に反対する抗議集会(共同)
再処理工場の試運転に反対する抗議集会(共同)

(3)海外から波及した過激な大衆運動

 1999年(平成11年)の米国・シアトルにおける世界貿易機関(WTO)第3回閣僚会議以降、海外において、市場経済原理の世界的浸透が様々な社会問題を発生させるなどとして、経済関係の国際会議等において大規模な抗議集会やデモ等を行う反グローバリズム運動が活発化しているが、国内でも、13年12月以降、この運動に取り組む海外団体の関連組織が各地に結成され、国際会議等の開催に合わせて、現地等での抗議行動に取り組んでいる。
 18年6月に都内で開催された世界経済フォーラム・東アジア会議2006をめぐっては、国内の反グローバリズム団体がこれに抗議するシンポジウムを開催したほか、別の団体が会場周辺で抗議行動を行った。
 9月にシンガポールで開催された国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会をめぐっては、シンガポール政府が屋外集会を禁止したため、反グローバリズム団体は、インドネシアで、IMF・世界銀行の金融政策・開発方針に異議を申し立てるなどとして、これに抗議する集会(国際民衆フォーラム)を開催し、国内の団体も参加した。
 また、各国の環境保護団体等は、2006年(18年)中、9月20日を「ジャパン・ドルフィン・デー」と称し、同日に各国の日本の在外公館前等においてプラカードを掲げるなどして、日本のいるか漁に対する抗議行動を行った。

 6 大衆運動の動向

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