第6章 公安委員会制度と警察活動の支え 

8 教育訓練と職務執行

(1)教育訓練
 警察職員には、適正に職務を執行するため、円満な良識と確かな判断能力、実務能力が必要とされる。警察学校や警察署等の職場では、誇りと使命感に裏打ちされた高い倫理観と職務執行能力を兼ね備えた警察職員を育成するため、教育訓練の充実強化を図っている。

〔1〕 警察学校における教育訓練 
 都道府県警察の警察学校、警察庁の管区警察学校、警察大学校等では、対象者の階級及び職に応じて、次のような体系的な教育訓練を実施している。
  ・ 採用時教育…新たに採用された警察職員に対し、職責を自覚させ、使命感を培うとともに、基礎的な知識及び技能を修得させるもの
  ・ 昇任時教育…上位の階級又は職に昇任した警察職員に対し、それぞれの階級又は職に必要な知識及び技能を修得させるもの
  ・ 専門的教育…特定の業務分野に関する高度な専門的知識及び技能を修得させるもの

〔2〕 警察署等の職場における教育訓練
 警察署等の職場では、個々の警察職員の能力や職務に応じた個人指導のほか、研修会の開催等により、職務執行能力の向上を図っている。また、適切な職務執行を行うとともに、高い倫理観を培うため、部外講師による講習会等を行っている。

〔3〕 術科訓練の充実強化
 凶悪犯罪に的確に対処できる精強な執行力を確保するため、柔道、剣道、逮捕術、けん銃等の術科訓練を実施している。
 特に、様々に変化する状況に的確に対応する能力を培うため、映像射撃シミュレーター(注1)等によるけん銃訓練等、実際の現場で発生する可能性の高い事案を想定した訓練の充実強化を図っている。

注1:スクリーンに投影した映像に向け、レーザー光線で射撃を行う訓練装置


 
 映像射撃シミュレーター
写真 映像射撃シミュレーター

(2)警察官の殉職・受傷
 警察官は、個人の生命、身体及び財産を保護し、公共の安全と秩序の維持に当たるため、自らの身の危険を顧みず職務を遂行し、その結果、不幸にして殉職・受傷する場合がある。平成17年11月には、千葉県成田国際空港警察署地域課の警察官が、交通違反をした男(34)に対して職務質問をしようとしたところ、男にナイフで刺されて殉職した(注2)。警察では、果敢な職務執行をたたえて警察庁長官名による表彰を行うとともに、遺族に賞じゅつ金を支給した。
 このように、殉職・受傷した警察官又はその家族に対しては、公務災害補償制度による公的補償のほか、賞じゅつ金の支給等の措置がとられている。

注2:被疑者は、現場において、他の警察官により殺人未遂罪、公務執行妨害罪等で逮捕された。


 8 教育訓練と職務執行

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