第4章 安全かつ快適な交通の確保

9 道路交通環境の整備による歩行者等の安全通行の確保

(1)バリアフリー対応型信号機等の整備
 高齢者や障害者等の中には、信号表示を識別しにくい、歩く速度が遅いなどの理由により、道路の横断に不安を覚える者も少なくない。このため、警察では、音響により信号表示の状況を知らせたり、押ボタン等の操作により歩行者用信号の青の時間を延長したりすることのできる機能を有する信号機を整備している。
 そのほか、道路標識・道路標示を見やすく分かりやすいものとするため、表示板を大きくしたり、自動車の前照灯に反射しやすい素材を用いたりするなどの対策を講じている。
 
 図4-20 バリアフリー対応型信号機
図4-20 バリアフリー対応型信号機

(2)あんしん歩行エリアの整備
 警察では、道路管理者と協力して、徒歩や自転車で通学する児童や生徒の多い地域、高齢者や身体障害者が利用する施設の周辺地域、歩行者でにぎわう商店街がある地域等のうち、歩行者・自転車利用者の安全な通行を確保するため緊急に対策が必要な地区796か所を「あんしん歩行エリア」に指定し、通過交通量の減少や走行速度の低下等を目的とした交通規制を行ったり、高齢者、身体障害者等が利用しやすい信号機、道路標識・道路標示を整備したりするなど、地域の特性に着目した交通安全対策を実施している。
 
 図4-21 あんしん歩行エリアのイメージ図
図4-21 あんしん歩行エリアのイメージ図

(3)生活道路における交通事故抑止対策
 我が国では、全交通事故死者のうち歩行中・自転車乗用中の死者が占める割合が、欧米諸国と比べて著しく高くなっており、歩行者・自転車利用者の交通事故防止対策が重要な課題となっている。このため、あんしん歩行エリア以外の生活道路においても、警察庁が国土交通省と連携して作成した「生活道路事故抑止対策マニュアル」(注)を活用するなどして、警察と道路管理者が連携し、自動車の速度の抑制、道路の形状や交差点の存在の運転者への明示、歩車それぞれの通行区分の明示等を進め、歩車が共存する安全で安心な道路空間を創出するための取組みを推進するなど、交通事故抑止のための施策を推進している。

注:生活道路における交通事故抑止対策を効果的に推進することができるようにするため、その手順や道路交通環境の整備手法等を体系的にまとめたもの


 
 図4-22 生活道路対策のイメージ図
図4-22 生活道路対策のイメージ図

コラム1 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の制定

 近年、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性が増大していることから、今後、更に関係機関の連携を図り、地域住民の声を踏まえたバリアフリー化を推進するため、バリアフリー化事業実施主体、高齢者、障害者等から成る協議会の設置等によって総合的・一体的な街のバリアフリー化の推進を図ることを内容とした、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律が平成18年6月、第164回国会において成立した。

 9 道路交通環境の整備による歩行者等の安全通行の確保

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