第4章 安全かつ快適な交通の確保

6 運転者施策

(1)運転者の危険性に応じた行政処分や教育の実施
 警察では、道路交通法違反を繰り返し犯す運転者や重大な交通事故を起こす運転者を、道路交通の場から早期に排除するため、行政処分の厳正かつ迅速な実施に努めている。
 また、道路交通法等に違反する行為をし、累積点数が一定の基準に該当する者や行政処分を受けた者に対しては、危険性の改善を図るための教育を行っている。
 
 表4-4 運転免許の行政処分件数の推移(平成13~17年)
表4-4 運転免許の行政処分件数の推移(平成13~17年)
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 表4-5 危険運転者の改善のための教育の状況(平成17年)
表4-5 危険運転者の改善のための教育の状況(平成17年)
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(2)運転免許取得希望者の利便性の向上
〔1〕 運転免許手続の簡素合理化
 警察では、免許更新に係る国民の負担を軽減するため、更新免許証の即日交付、日曜日の申請受付、警察署への更新窓口の設置、申請書の写真添付の省略等の施策を推進している。平成17年末現在、全国に即日交付窓口を249か所設置しており、同年中の即日交付件数は全体の71%であった。また、優良運転者は、住所地を管轄する公安委員会以外の公安委員会を経由して更新申請をすることができ、同年中の経由申請件数は6,658件であった。

〔2〕 障害者の利便性の向上
 警察では、障害者がその障害に応じた特別の装備を施した車両を持ち込んで運転免許試験を受けることを認めており、指定自動車教習所に対しても、教習実施に際し同様の措置を講ずるよう指導している。また、障害者や一定の病気にかかっている者が安全に運転できるかどうかを個別に判断するため、専門知識の豊富な職員を配置し、運転適性相談活動の充実を図っている。さらに、試験場施設の整備・改善、字幕入り講習用ビデオの活用、漢字に振り仮名を付けた試験問題による学科試験の実施等を推進している。

(3)国際化に対応した免許行政
 平成17年中の国外運転免許証の交付件数は34万3,002件であった。警察では、申請・交付窓口の拡大、電子計算機処理による発行事務の迅速化等により、国外運転免許の交付申請者の利便性を向上させている。
 一方、外国の行政庁の運転免許を有する者については、一定の条件の下に運転免許試験の一部を免除できることとされており、この制度による同年中の運転免許証の交付件数は4万4,133件、対象となった外国行政庁は152であった。警察では、真正でない外国の運転免許証を使用して日本の運転免許を取得しようとする事案も発生していることから、慎重な審査を行い、不正取得の防止に努めている。

(4)運転免許証のICカード化
 平成13年の道路交通法改正により、運転免許証の記載事項の一部を電磁的方法により記録できることとされたことを受け、警察庁は、高度なセキュリティ機能を有するICカード免許証の仕様を定めるなど、ICカード免許証の発行開始に向けた準備を進めている。
 19年1月1日からは、警視庁及び一部の県警察においてICカード免許証を発行することとしており、その他の道府県警察においても、今後、ICカード免許証を作成するためのシステムの整備を進めていくこととしている。

<ICカード化による主なメリット>
 ・ 偽変造防止(セキュリティの向上)
   近年、偽造された運転免許証を悪用して、第三者になりすまし、携帯電話の契約や預貯金口座の開設を行い、これらを別の犯罪に利用する事案等が多発しているが、ICチップに券面の記載事項を記録し、併せて事実上偽造が不可能とされている電子署名を記録することにより、運転免許証の偽変造がされにくくなる。
 ・ プライバシー保護
   本籍は、運転免許行政に必要なものであるが、運転免許証の券面から削除し、ICチップのみに記録することにより、免許保有者のプライバシーが保護されることとなる。

(5)新たな運転免許制度の施行
 中型免許の新設等を内容とする運転免許制度の円滑な施行(平成19年6月までに施行予定)に向け、広報啓発、技能試験の実施体制の整備、自動車教習所に対する指導等、計画的な準備作業を行うこととしている。

 6 運転者施策

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