第4章 安全かつ快適な交通の確保

5 運転者教育

(1)運転者教育の体系
 運転者教育の機会は、運転免許を受ける過程及び運転免許を受けた後における各段階に体系的に設けられており、その流れは次のとおりである。
 
 図4-14 運転者教育の体系
図4-14 運転者教育の体系

(2)運転免許を受けようとする者に対する教育の充実
 運転免許を受けようとする者は、都道府県公安委員会の行う運転免許試験を受けなければならないが、指定自動車教習所(注1)の卒業者は、そのうち技能試験が免除される。指定自動車教習所は、平成17年末現在、全国で1,450か所あり、その卒業者で同年中に運転免許試験に合格した者は約187万人と、合格者全体の94.3%を占めている。警察では、教習指導員の資質の向上を図るなどして、指定自動車教習所における教習の充実に努めている。
 また、運転免許を受けようとする者は、免許の種類に応じて、安全運転に関する知識や技能等を修得するための講習(取得時講習)を受講することが義務付けられている。ただし、指定自動車教習所又は特定届出自動車教習所(注2)を卒業した者は、この講習と同内容の教育を受けているため、受講する必要がない。

注1:職員、施設及び運営方法が一定の基準に適合するものとして都道府県公安委員会が指定した自動車教習所
 2:届出自動車教習所のうち、職員、施設、教習方法等が一定の基準に適合するものとして都道府県公安委員会が指定した教習課程を行う自動車教習所


 
 表4-2 取得時講習の実施状況(平成17年)
表4-2 取得時講習の実施状況(平成17年)
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(3)運転免許取得後の教育の充実
〔1〕 更新時講習
 更新時講習は、運転免許証の更新の機会をとらえて定期的に講習を行うことにより、安全な運転に必要な知識を補い、運転者の安全意識を高めることを目的としている。
 受講対象者を優良運転者、一般運転者、違反運転者及び初回更新者に区分して実施しているほか、受講者の態様に応じて高齢者学級、若者学級、二輪車学級といった特別学級を編成し、きめ細かな講習の実施に努めている。
 
 表4-3 更新時講習の実施状況(平成17年)
表4-3 更新時講習の実施状況(平成17年)
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〔2〕 自動車教習所における交通安全教育
 自動車教習所は、いわゆるペーパードライバー教育を始め、地域住民に対する交通安全教育も行っており、地域における交通安全教育機関としての役割を果たしている。こうした教育の水準の向上と普及を図るため、一定の水準に適合する場合には都道府県公安委員会の認定を受けることができる制度が設けられている。

(4)高齢運転者対策の充実
〔1〕 高齢者講習
 高齢者講習は、70歳以上の者が受講対象者とされており、危険予測や事故事例を始めとする安全運転に必要な知識、運転者の心構えや義務、道路交通の現状に関する視聴覚教材を用いた講義のほか、施設内のコース等における自動車等の運転、動体視力や夜間視力の検査を通じて、受講者に自らの身体機能の変化を自覚してもらうとともに、その結果に基づいて助言・指導を行うことを内容としている。平成17年中は155万8,095人が受講した。

〔2〕 今後の高齢運転者対策の在り方
 警察庁では、高齢者講習における身体機能の検査項目の追加を含め、より効果的な教育手法等について調査研究を実施している。
 また、認知症等の運転免許保有者に対し、きめ細かな措置を講ずることができるようにするため、認知機能を検査する手法の開発を進めている。
 これらの調査研究の結果を踏まえ、今後、高齢運転者対策の充実に向けた検討を進めることとしている。

 5 運転者教育

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