第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(1) 刑事訴訟法の制定と第一次捜査権の確立

 20年代は、今日の刑事警察の基礎が築かれた時代であった。戦前、警察官は、検察官の指揮の下に、その補助的な立場で犯罪捜査を行うものとされていたが、24年に施行された刑事訴訟法第189条第2項で「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」と規定され、警察は独立した第一次捜査機関として捜査を行うこととなった。
 これに伴い、警察自らの手によって犯罪捜査に関する一般準則を定める必要が生じ、24年に国家地方警察本部長訓令として犯罪捜査規範が制定された。そして、25年には、その内容を更に充実させた犯罪捜査規範が国家公安委員会規則として制定された。
 その後、発足間もない警察の捜査の在り方に対しては批判もなされた。特に、逮捕権の濫用については、28年の刑事訴訟法改正により、逮捕状の請求権者が公安委員会の指定する警部以上の司法警察員に限られることとなった。警察は、これを契機に捜査運営の刷新改善を図ることとし、32年に現行の犯罪捜査規範を制定した。

 
捜査会議の風景

捜査会議の風景

 第2節 日本警察50年史

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む