第9章 公安委員会制度と警察活動のささえ 

第9章 公安委員会制度と警察活動のささえ

第1節 公安委員会制度

公安委員会制度

(1)公安委員会の役割

 警察は,強い執行力を有しており,独善的な運営がなされたり,政治的に利用されることがあってはならない。
 公安委員会制度は,国民の良識を代表する者によって構成される合議制の機関が警察の管理を行うことで,警察の民主的運営と政治的中立性を確保することを目的として設けられている。
○国……内閣総理大臣の所轄の下に国家公安委員会が置かれ,国家公安委員会は警察庁を管理している。
○都道府県……都道府県知事の所轄の下に都道府県公安委員会が置かれ,都道府県公安委員会は都道府県警察を管理している。

所轄とは
指揮命令権のない監督であって,指揮監督より更に弱いつながりを示す。

管理とは
事務執行の細部についての個々の指揮監督を含まないが,公安委員会の所掌事務について大綱方針を定め,その大綱方針に即して警察事務の運営を行わせるために,警察庁又は都道府県警察を監督する趣旨であり,警察庁又は都道府県警察における事務の処理が,大綱方針に適合していないと認めるときは,必要な指示を行うこととなる。

 なお,国家公安委員会委員長に国務大臣が充てられているのは,国家公安委員会による警察の政治的中立性の確保と,治安に対する内閣の行政責任の明確化という2つの要請の調和を図るためである(図9-1)。

 
図9-1 公安委員会制度

図9-1 公安委員会制度

 

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