第2章 生活安全の確保と警察活動 

(2)悪質商法への対策

1)資産形成事犯
 資産形成事犯の検挙では,景気の低迷や低金利を背景として,高配当を確約して投資名下に金銭をだまし取る大型詐欺事件等,大規模かつ組織的な事件の検挙が目立った。平成14年中の資産形成事犯の検挙事件数は9件,検挙人員は116人で,被害額は過去10年間で最多の約1,890億円であった(表2-36)。

 
表2-36 資産形成事犯の検挙状況の推移(平成10~14年)

表2-36 資産形成事犯の検挙状況の推移(平成10~14年)
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事例
 健康食品販売を仮装した会社の実質経営者(68)らは,11年9月以降13年12月までの間,セミナーを開催して,参加者に対し「栄養補助食品等の販売代理店の権利を取得し,仕入れた商品を会社に再び販売委託すると,1年間で権利取得費用の倍近い利益が得られる」などと虚偽を申し向け,約4万9,300人から約1,549億円をだまし取った。14年12月までに,詐欺罪で14人を逮捕し,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)(組織的詐欺)違反で追送致するとともに,15年1月,同法(組織的詐欺)等違反で52人を検挙した(警視庁,沖縄,愛媛)。

2)特定商取引等に係る事犯
 特定商取引等事犯については,高齢者等の社会的弱者を対象に,点検を装って高額な改修工事を行う事件や,内職あっせん名下に主婦らに高額な教材を売りつける悪質な事件の検挙が目立った。14年中の特定商取引等事犯の検挙事件数は107件,検挙人員は279人であった(表2-37)。

 
表2-37 特定商取引等に係る事犯の検挙状況の推移(平成10~14年)

表2-37 特定商取引等に係る事犯の検挙状況の推移(平成10~14年)
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3)消費者被害対策の推進
 警察では,悪質商法による消費者被害の未然・拡大防止を図るため,都道府県警察に「悪質商法110番」等の相談窓口を設けて相談を受け付けている。また,最近の悪質商法の手口,発生状況,被害防止対策等について,各種の会合やインターネットのホームページ等あらゆる媒体を用いた広報啓発活動を推進している。

 

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