第2章 生活安全の確保と警察活動 

(3)警察力の効果的な運用

 街頭犯罪及び侵入犯罪の発生を抑止するためには,地域警察官による街頭活動を強化するとともに,街頭犯罪等の現場における検挙活動を強力に推進する必要がある。警察は,組織・人員の効率的な運用を始めとする合理化を徹底して執行体制を整備し,捜査力・執行力の充実強化に取り組んでいる。

1)街頭活動を強化するための執行体制の確保
 街頭活動を強化するためには,夜間,休日等,犯罪発生状況に比べて相対的に執行力の弱い時間帯や犯罪の多発地域における執行力を強化する必要がある。警察では,自動車警ら隊,機動隊,交通機動隊等の警察官の集中的配置・運用を進めているほか,地域警察官の勤務基準,勤務時間又は勤務制を見直すなどして,犯罪が多発する時間帯・地域における執行力の強化を図っている。

事例1
 兵庫県警察では,4警察署の自動車警ら班に8時間3交替制を導入し,事件・事故が多発する夜間帯におけるパトカーの稼働率を高めるとともに,パトカーを交番等に前進待機させることなどにより執行体制を強化している。

事例2
 千葉県警察では,警察署の限られた人員を迅速・的確に運用するため,警察官ロケータ・システムの導入を進めている。警察官ロケータ・システムは,地域警察官がGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)の受信機を内蔵した移動端末を携行することにより,通信指令室等の地図上に地域警察官の位置情報が表示されるシステムである。
 従来,地域警察官が活動している位置を把握するためには,その警察官からの報告によるほかなく,管内全体の活動状況を瞬時に把握することができなかったが,このシステムにより,事案発生場所の近辺にいる地域警察官を現場に急行させることや,その現場まで無線により誘導することなど,効果的・効率的な指令を行うことが可能となった。

2)街頭犯罪等の現場における検挙活動の推進
 警察では,街頭犯罪等が多発する時間帯・地域における重点的な職務質問の実施や職務質問技能に関する指導・教養の徹底等により職務質問を端緒とした検挙活動を強化するとともに,初動捜査の強化や本部特別捜査班の効果的な運用を進め,街頭犯罪等の現場における検挙活動の強化を図っている。

事例1
 徳島県警察では,平成15年3月,地域課に職務質問技能指導員を中心とした「広域自動車警ら隊」を設置して,街頭犯罪が多発している地域を中心とした活動を実施し,銃刀法違反容疑者を逮捕するなどの成果を収めている。また,各パトカーに乗車した職務質問技能指導員が,取締り活動を通じて勤務員を指導することにより職務執行能力の向上も図っている。

事例2
 香川県警察では,15年3月,捜査第一課に刑事,生活安全,交通,警備の各部門の専務隊員等からなる「街頭犯罪特別捜査隊」を設置し,隊員に対し,被疑者追跡訓練やベテラン刑事を講師とした捜査要領等の教養(刑事実践塾)等実践的な訓練・教養を実施した上で,検挙活動を推進している。同隊は,同月,岡山市内における侵入盗事件の被疑者の男(48)を窃盗で逮捕するなどの成果を収めている。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む