第2章 生活安全の確保と警察活動 

(2)総合対策の基本的考え方

 このような情勢にあっては,犯罪の発生,とりわけ国民が身近に不安を感じる街頭犯罪及び侵入犯罪の発生を抑止するための諸対策を推進し,良好な治安の回復を図ることが喫緊の課題である。警察では,生活安全・刑事・交通・警備等の関係各部門が連携したプロジェクトチームを編成するなどして総合的な体制を確立するとともに,次のような方針に基づいて対策を推進している。

 
街頭犯罪・侵入犯罪防止総合対策

街頭犯罪・侵入犯罪防止総合対策

1)犯罪対策のマネジメント・サイクルの確立 ~街頭犯罪等抑止計画の策定・実施・評価
 犯罪の総量の抑制を図るためには,重要事件の検挙のみならず,科学的・多角的な現状分析と将来予測に基づいて,重点を絞った検挙・防犯対策を継続して実施することが重要である。そのため,実効ある対策を立案することはもちろんのこと,対策を推進するための効率的な業務管理と効果測定を行うことが不可欠であり,犯罪の抑止に関する計画を地域ごとに策定し,実施し,評価する一連のマネジメント・サイクルを確立することが求められる。
 各都道府県警察においては,平成15年1月から,地域の犯罪実態に応じ,対象とする地域や犯罪類型に重点を絞った「街頭犯罪等抑止計画」を策定し,諸対策を推進している。

2)「犯罪に強い社会」の構築 ~自主防犯行動の促進と防犯システムの確立
 犯罪の発生抑止に万全を期すには,警察のみによる努力では限界があり,国民,地域社会,関係機関・団体が果たすべき役割は大きい。しかしながら,近年,社会の犯罪抑止機能が低下しつつあるなど,犯罪の発生を抑止するための社会環境は,非常に厳しいものとなっている。警察は,このような情勢を踏まえ,国民一人ひとりや関係機関・団体による自主的な防犯行動を促進するとともに,犯罪の発生と関連の深い社会・経済の仕組みに,犯罪の発生抑止に資する「防犯システム」を組み込むことで,「犯罪に強い社会」を構築していくこととしている。

 

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