第1章 組織犯罪との闘い 

エ 暴力団被害者への支援強化

 暴力団対策法の施行を契機に,暴力団組事務所の撤去や使用差し止めの請求訴訟,暴力団員による不法行為に対する損害賠償請求訴訟等,民事訴訟という手段によって暴力団を排除し,また,その不法行為による被害を回復しようとする動きが活発化した。
 こうした動きの中で,実行行為者である暴力団組員の不法行為責任のみならず,暴力団組長の共同不法行為責任(民法第719条)や使用者責任(同法第715条)を認める判決もみられるようになった。今や暴力団組長等の民事責任を追及する民事訴訟は,被害者の救済はもとより,暴力団に経済的打撃を与えるという点において,暴力団対策上の有効な手段となっている。
 今後も弁護士会との緊密な連携の下に,暴力団情報を訴訟当事者に提供するなどして民事訴訟支援を更に推進していくことが重要である。

 

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