(7)中国
中国には,青幇,紅幇に代表される黒社会と呼ばれる犯罪組織がかつて存在していたが,1949年(昭和24年)に中華人民共和国が成立した後は,徹底した取締りで黒社会は消滅したとされた。しかし,1970年代末からの急速な経済発展に伴って,農村部から都市部への大量の人口流入,貧富の格差の拡大,規範意識の低下,拝金主義や汚職のまん延等が生じたことなどを背景として,中国各地に無数の犯罪組織が形成された。これら犯罪組織のうち,組織化の程度,社会に与える危害の程度,経済的実力等からみて組織形態がある程度発展したものを黒社会的性質を帯びた犯罪組織と呼んでいる。
黒社会的性質を帯びた犯罪組織はその大多数が数十人から百数十人の規模であるとみられており,犯罪活動の内容は,強盗,恐喝,脅迫,人身売買,売春,賭博,薬物取引等多種多様である。中国では,こうした組織が公務員を買収するなどしてその庇護を得るようになったり,組織の構成員自身が公職に就くこともあり,腐敗の蔓延として大きな問題となっている。
黒社会的性質を帯びた犯罪組織に対しては,中央では公安部刑事偵査局,地方では公安局や公安庁の刑事偵査総隊が捜査を担当しており,一部の地方組織においては専門班を設けて捜査を行っている。また,2000年(平成12年)12月から2年以上にわたって,黒社会的性質を帯びた犯罪組織等に対する特別取締りである「打黒除悪」特別闘争が全国で展開された。