第1章 組織犯罪との闘い 

(3)対立関係

 このように,暴力団と来日外国人との関係が密接になるにつれて,対立関係も生じている。
 平成14年9月には,都内において,些細(ささい)なトラブルから,指定暴力団員が中国人数人の暴行を受けたことに端を発し,暴行を受けた組員に係る治療費等の請求をしようと交渉に臨んだ指定暴力団幹部等に対して,中国人グループが,一般人の客や従業員のいる喫茶店内で発砲し,1人を殺害,1人に重傷を負わせる事件が発生した。
 この事件の原因は,些細なトラブルであるが,暴力団員と来日外国人の関係が相当程度密接になっていることがうかがわれる事例であると言える。また,この事件においては,中国人グループが当初からからけん銃を隠し持って暴力団幹部との交渉に臨んでおり,外国人犯罪組織が必ずしも暴力団をおそれていないこと,また,その凶暴性が高まっていることがうかがわれる。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む