第1章 組織犯罪との闘い 

ア 銃器の所持・使用事犯に占める暴力団の割合

 銃器,特にけん銃は,暴力団等の犯罪組織にとって組織の力を象徴する最も強力な武器であり,暴力団はこれまでも銃器の最大の買い手となってきた。
 また,暴力団に所持された銃器は使用される危険性が高く,銃器発砲事件のうち,例年7割から8割に暴力団が関与している。平成14年の銃器発砲事件158件中,暴力団によるものとされる発砲事件は112件(70.9%)であった。対立抗争における攻撃のほとんどはけん銃を使用して行われているのが現状である(図1-44)。

 
図1-44 銃器発砲事件に占める暴力団による事件の割合

図1-44 銃器発砲事件に占める暴力団による事件の割合
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 犯罪組織の武器庫(組織的管理の下に3丁以上のけん銃が隠匿されている場所)を始めとするけん銃等の隠匿場所を解明するためには長期間の内偵捜査を要することが多く,また,成果につながりにくいのが実態である。14年の暴力団の武器庫の摘発は8件にとどまり,8年以降の押収丁数も減少傾向にある。しかしながら,武器庫1か所当たりの押収丁数は8.5丁と増加し,依然として,暴力団が対立抗争等に備えて,大量のけん銃を隠匿している状況がうかがわれる(図1-45)。

 
図1-45 暴力団の武器庫の摘発状況

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事例1
 14年9月,民家火災の現場において,ゴルフバッグ内に隠匿された散弾銃及び天井裏に隠匿されたけん銃1丁を発見したことから,同家屋を捜索し,合わせてけん銃32丁,散弾銃1丁,けん銃実包356個等を発見,押収し,松葉会傘下組織幹部ら2人を逮捕した(茨城)。

 
押収されたけん銃等

押収されたけん銃等

事例2
 14年10月,東組傘下組織幹部の知人宅を捜索した結果,けん銃8丁,散弾けん銃1丁,機関けん銃2丁の合計11丁及び実包1,101個を発見,押収し,同幹部らを逮捕した(奈良)。

 

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