イ 銃器捜査が困難になった点
銃器捜査が困難になった点について質問したところ(複数回答),「情報収集が困難になった」と回答した者が92.3%と最も多く,次いで「けん銃の隠匿・取引が巧妙化した」(82.9%)とする回答が多かった。これらは,違法銃器の隠匿場所・取引に関する情報の収集が,暴力団等の犯罪組織の組織防衛により困難になっていることを示していると考えられる(図1-43)。
図1-43 銃器捜査が困難になった点(複数回答)
(ア)情報収集が困難になった原因
けん銃に関する情報収集が困難になった原因について質問したところ(複数回答),「暴力団等と接触しにくくなった(暴力団等の犯罪組織内の情報が提供されにくくなった)」(63.3%),「核心情報を取れる捜査員が少なくなった」(59.6%)とする意見が多かった。また,「情報提供者の秘匿・保護の要請が強くなった(保護できなければ情報提供してもらえない)」(40.4%)とする意見もあった。
(イ)けん銃の隠匿・取引の巧妙化の内容
けん銃の隠匿・取引の巧妙化の内容について質問したところ(複数回答),「通常捜索を受ける場所に置かなくなった(暴力団等関係者の周辺に置かなくなった)」(92.4%)とする意見が最も多く,次いで「けん銃の保管・取引場所を頻繁に変更するようになった」(52.4%),「暴力団等の組織内でけん銃の隠匿・取引の情報に接する者の数が減らされた」(49.7%)とする意見が多かった。
これらは,暴力団等の犯罪組織がけん銃が摘発されることを避けるため,様々な手段を講じていることを示していると考えられる。
事例
11年5月,暴力団関係者である家具職人は,自宅の居間の木製作業台の脚をくりぬいて箱形けん銃1丁を入れ,さらに,テーブル面にネジで止め,隠匿していた(愛知,岐阜)。
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