第1章 組織犯罪との闘い 

ウ 債権回収に介入する資金獲得活動
 いわゆるバブル経済期に地上げ等で資産を得た暴力団は,バブル経済が崩壊した後は,不良債権の処理に介入して違法,不当な行為を行う動きを強めている。その手口としては,詐欺破産等による倒産整理,競売物件を不法占有した上で虚偽の賃借権,抵当権を設定する偽計による競売入札妨害行為等であり,競売不動産等を安価に入手してこれを転売したり,立退き料等を要求するなどして不正な資金獲得を図っている。

事例1
 山口組傘下組織組長(42)らが占有していた土地及び建物に対して,競売開始決定がなされ,落札した不動産会社の社員が,立ち退き交渉に訪れた。その際,同組長らは,同社員を「五代目山口組総本部」との貼り紙のある部屋に通し,「手を引け。会社に街宣かけるぞ」などと語気荒く迫るとともに,入れ墨を示すなどして,同物件の買取りを断念させた。14年9月,同組長ら4人を威力による競売入札妨害で検挙した(北海道)。

事例2
 山口組傘下組織組員(54)及び建設会社の経営者(50)らは,12年6月,同社の経営状態が悪化し,経営破綻が避けられなくなったことから,同経営者及び同社の所有するビルの土地・建物の所有権を別会社に移ったように装って登記させるなどして,破産財団に属すべき財産を隠した。13年10月,同組員ら6人を破産法違反で検挙した(大阪)。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む